喧嘩を売られてみる
執筆中にPCがフリーズして泣く泣く再起動≫
保存前だったので消失≫
不貞腐れて寝る≫
最近は日中の作業が出来ない……
遅くなり申し訳ない。
「ふぅん、君が偽物の【ドラゴンスレイヤー】かい?」
音楽祭の事も有って、一寸、忙しく過ごしてる俺の所に、冒険者ギルドのギルドマスターから緊急で連絡が来たのは、丁度仕事の一区切りが付いた、午後の事だった。
曲がね、まだまだ足りんのよ。いや、この世界のスタンダードなダンスナンバーなら幾つかあるんだが、こう、バンドで演奏できる様なやつがさ。
仕方ないんで、俺の前世の記憶から幾つか楽譜を書き起こしてなぁ。
とは言え、俺は基本思い出しだけなんだが、ソレを譜面に直すのはファティマのお仕事。【念話】って便利だよね。
とは言え、その楽譜が合ってるかどうかを確認するのも俺のお仕事なんだけんどもさ。特に歌詞とか。
それは兎も角、呼び出しだって聞いた一瞬は、午前中もギルド行ったばっかだったし、『タイミング悪いなぁ』とか思ったんだかね。それでも『急いで来てほしい』とかって伝言を貰った訳だから、そりゃ行かないってえ訳にもいかんだろ。
それでなくとも、俺を呼び出すとか珍しいしな。普段は俺が敢えてギルドまで足を運んでるし、その事ですら恐縮してる訳だし。
で、 冒険者ギルドに着いた俺に対して、待っていたらしい青年の第一声か、コレだった訳だ。
『【憤懣】不敬ですね。潰しますか?』
「それでも構わんが……」
別に、不敬だとかどうとかって訳じゃ無いが、ギルドの正面受付前のスペース、そこに立つ青年と、その足元に倒れ伏す冒険者達を見れば、何にせよ警戒が必要だと理解出来る。
果たしてこれが、どちらが先に手を出したのか、出されたのか。やもすれば先に口を出したのかどちらなのか。
ギルドに居る冒険者連中、顔は厳ついが、気の良い奴等が揃ってる事を考えると、どうも、ね。
特に、この状況で青い顔したキルドマスターが、俺の事を呼び出したってぇのも併せて考えるとなぁ?
青年がこれ見よがしに、倒れている近くの冒険者の腹を蹴り飛ばす。その冒険者が『うぐっ』と、嗚咽を漏らすと、ギルドマスターが悔しい様な悲しい様な表情で、歯をギリリと鳴らした。
青年は、そんなギルドマスターの事はガン無視で、特にリアクションもしない俺の方を見て、面白くなさそうにフンッと鼻を鳴らす。
「まぁ、偽物は偽物って事か。こんな雑魚ばかりのギルドでお山の大将なんてやってる位だから、まぁ、お里が知れるって物だよね」
一寸、コイツの言ってる事が意味不明だわ。【ドラゴンスレイヤー】の偽物ってのが、俺の事を指してるってのは分かるんだが、そもそも、【邪竜】【ニーズヘッグ】【ムシュフシュ】って倒してて偽物とはいったい? あ、そう言えば【ムシュフシュ】は俺が倒した事には成って無いのか。
だとしても【邪竜】は目撃者が多い所で倒してるし、【ニーズヘッグ】は……こいつも討伐した証拠は残せてないのか。
いや、だったとしても確実に一体は倒してるし、その証明もされているから、偽物と呼ばれる筋合いは無い筈だ。筈だよな?
「……ギルドでお山の大将なんざやって無いが?」
「ハッ! ちょっと、アンタが偽物だって話をしたら、喧嘩を売って来たけど?」
それ、別にお山の大将やってるってぇ証拠じゃ無いよね? 多分、以前見たのと同じ感じに、俺がディスられてるから口が出たってぇ感じのアレだよな? 恐らくだけど、俺が領主とかやってるし、一応にも貴族だし、その辺りの忖度的な感じの。
『【訂正】忖度では無く、慕われているのかと』
……まぁ、だとしても、俺の悪口に対して憤ってくれて事に対しては有り難いとは思う。そして、つまり、家の領の冒険者ギルドに来て、俺をディスってて、それを止めさせようとした冒険者をボコった、と。
うん。有罪確定だね。




