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Re:

 ガーディアンの敗北による更なる戦力の追加やら遺跡の崩壊なんかは、良く有るテンプレだと思うんだが、まぁ、この世界の人にとっちゃ、そんなテンプレなんざ、知り様が無い訳だ。


 俺みたいな前世持ちからすれば、下手に警報が鳴ったりしたら、あの時通ってきた通路の騎士像が、全て敵にまわるなんて展開は、ある種お約束なんで、想像がつくんだがね。


 こっちだと、そう言う冒険活劇とか……無いかなぁ、無いんだろうなぁ。


 基本羊皮紙の世界なんで、加工も難しければ、それ程量も取れない。なんで必然、貴重だし価格も高くなる。

 そうなれば生活に必須だったり、権威を高める為の書物に使わにゃならんくなるんで、娯楽に割く余裕なんて有りゃしない訳だ。


 ならば、他の革で代用できないかと言えば、出来る事はできるんだが、羊皮紙よりもコストが掛かっちまうんで、現実的じゃぁ無いわけだな。


 あ、そうだ。わら半紙作ろう。前世の小学校時代にゃ学校で作ったよなぁ。

 職場でそう言った時は、そんな事しなかったとか言われたが、全国区じゃ無かったんじゃろか?

 まあ、今と成っちゃあ、確認する術なんざないがな。


 アレは麦藁だろうが稲藁だろうが、藁があれば作れるから、教会(きょてん)に戻ったら作らせてみるか。

 上手くいきゃ、収入源にも成るだろ。


 そんな事をツラツラ考えていたら、何でか皆の視線がこっちに集まってた。なんジャラホイ?


「トール殿は幾つかダンジョンアタックの経験がおありなのだろう?」


 神殿入れて2つだけだが、それ以外にファティマ達から色々聞いてるし、前世で見た、有り得そうな展開やギミックについては知っている。

 実際、ファティマ達と「こういう展開で~」みたいな『あるある』話で盛り上がったりもしたしな。

 そう言う意味では、俺の知識は役に立たんって事は無いだろう。

 だが、ここはリティシア達の国で、俺は異邦人な訳だ。そこに積極的に介入するってのは何か違うだろうと思ったんで、今まで黙っていた訳だが……


「片手で足りる程度だがな」


 どうやら彼女達は、異邦人(おれ)の意見も聞いてみたいらしいな。


 ******


『警告だぁ……キサマの通行証のセキュリティーレベルは、この先に進む事を許されていない!! 早々に立ち去れぇ!!!!』


 さてさて、俺の意見を踏まえての話し合いも終わってのテイク2。

 俺は再びガーディアンの前にいた。


 話し合いに参加しての感想は『やっぱりな』だったわ。

 聖王国のダンジョンの数は魔人族国のそれよりも、かなり少ないらしい。つぅても、1領地に1つはダンジョンが有りそうなあの国と比べるのもどうかと思うがね。

 ダンジョンと言うか、古代文明自体が神話の頃の話と同義な為、その文献は殆ど無いんだそうな。むしろ御伽話を引っ張り出さんとあかん程。


 で、その上でこの国のダンジョンの数ってのは少ない訳だ。それも“生きて”るヤツならさらに希少になる。

 そう、そもそもリティシア達には、ガーディアンを倒してしまったらどうなるのか? って事そのものの知識が無かったらしい。と言うか、ガーディアンと闘った事は有っても、勝ったって事は無かったっぽい。


 え? この国の兵士のレベルってそんなんか?

 いや、考えてみれば、普通の人間より強靭だって話の魔人族の兵士もあの位なんだから、押して知るべきなのか?

 ちょっと俺の常識と世間一般の常識の乖離がひどすぎて泣ける。


 まぁ、それは置いとくとして、俺の感触としては、あのくらい知能が発達してる相手であれば、会話は可能だと思うんよ。ファティマ達と同じ様にな。


 なんで、リティシア達には巻き込まれない様に離れて貰って、俺が一人で対峙する所までは同じなんだが、ここからは戦闘じゃなくSETTOKUを試みる事になる。


『警告だぁ……キサマの通行証のセキュリティーレベルは、この先に進む事を許されていない!! 早々に立ち去れぇ!!!!』


 上半身を乗り出し、俺を威嚇するガーディアン。

 その厳つい顔を見ながら、俺は魔力装甲の中でニヤリと嗤う。

 

 ()()()()()()()()()古代文明の遺産だって言うなら、そうそう壊れるこたぁねぇだろ。

 さて、俺の手加減の練習台……げふんげふん。SETTOKUに付き合って貰おうか。


 ******


 殴りかかって来た拳を受け流し、その右の頬にケリを入れる。そのまま顔を駆け上がった上で後頭部に打ち下ろしのパンチ。


「おいおい、仮にも守護者なんてたいそうな存在が、この程度で終わりなんてぇ事、ねぇよなぁ!!!!」


 床に埋まった顔を掴み、持ち上げ、それに拳を入れる。

 今使ってるのは身体能力向上とアドアップ、ブースト及び魔力装甲まで。それでも攻撃の瞬間は音を超えるらしく、衝撃波が飛び交う、完全なる後の先。

 相手の攻撃を見てからでもこっちの攻撃が先に届くってのは、やはり遣り易い。てか、これだけでも充分チートだ。


 と、尻尾が唸りを上げて俺に迫るが、俺はそれを半身で避けると、そのまま鷲摑みにしてぶん回してから壁に叩き付けた。


 壁に罅が入り、ガーディアンが剥がれ落ちる。


 それでもその瞳には闘志が宿っていた。おお、ナイス闘志!!


 ………………


 あれ? さっきの、ちょっとバフォメットぽく無かったか?

 もしかして、影響受けてる?

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