熱意だけはある。認めるか認めないかはまた別だが
本格的に執筆時間が取れませんでした。
遅くなって申し訳ない。
「対決の大会については、俺が商会のオーナーな上に、エクスシーアが主体で企画、設営してて、俺は演出でアイデアを出したってぇ位の話だし。プロレス興行の方も、言い出したのはスターリンとアルフレドで、俺が技の類を知ってるから教えてるのと、ルールを熟知してたのが俺だけだったから、レフェリーをやってたってぇだけで、俺が主体した訳じゃねぇからな?」
俺の説明に、ドワーフの親方ことユリウスが渋面で唸る。……いや何と言うか、名前がアレな割に、顔は厳つい髭面な所為もあって、未だに顔と名前が一致しないんよね。ドワーフ連中。
それは兎も角、俺がやったのは、あくまでサポートでしか無い。ドワーフ連中みたいに『やってくれ!』ってぇ感じに丸投げされてやったってぇ訳じゃぁ無いんよね。
確かにこう言ったイベント事なんかで、市民の息抜きってのは必要だとは思うが、俺が主体でやるとすれば、それはもう領地でのお祝い事とか祭りって事でやらんと、ハブに成った地域に不平等が出ちまうからな。
なんで、ドワーフ連中がやりたいからって、“俺”が主導する訳にはいかんのよね。やるんだったら、企画立案はドワーフにやって貰わんと。
「そもそも、なんで大音楽祭をやろうとか思ったんよ?」
前も思ったんだが、ドワーフ連中が、例えば酒飲んで調子っ外れで歌うとかならイメージできるんだが、楽器を演奏してとなると、途端にイメージが湧かなくなる。いやまぁ、偏見だってのは認めるけどさ。
精々ドラムセットを豪快に叩くくらいか? イメージできるのって。てか、既にDJやってるのは見てるんだったわ、思ったほど違和感なかったからなぁアレ。
「いや、大本はな、アレだ、嬢ちゃん達の出土品の楽器」
あぁ、対決大会の時のあれかぁ。いや、元々の持ち主は考古学者“D”の所有物であって、イブ達の所有物じゃぁ無いんだがね。そう言えば、あれ、取りに来ねぇな“D”のヤツ。てか、大会直後は会うとかって状況じゃ無かったし、その後は姿見て無いけど。
「アレをな、再現してみたくなってな、で、作ったんだ」
「そうか、作っちゃったか」
いやまぁ、あんなの見れば作りたくなるだろうドワーフなら。てか、『作りたくなった』で、『作っちゃえる』ってどんだけだよ。
「いや、まぁ、完全にコピーとかは出来んかったが、それでもあれだ、送受信機でも似た様な原理で音を増幅できただろう? それを応用して、似た様な感じでってなぁ」
「あぁ、完全再現って訳じゃぁ無いのか、それでも、類似でも再現するだけ凄いと思うんだが」
俺がそう言うと、ユリウスが鼻の穴を膨らませる。喜んでるらしい。
「おうさ! 現状では、一番の傑作だ」
ドワーフがそう言うって事は、相当な逸品なんだろう。てか、どれ程の物かは現物を見ないと分からんが、少なくともドワーフ連中が作った物なら、再現は容易だろう。それはつまり、増産の目途が立ってるってぇ事でもある。
ああ、成程、その為の大音楽祭か。楽器を普及させる為の手段としての。つまりは対決の大会同様のプロモーションってぇ……
「だからよ!! 嬢ちゃん達にぜひ使って貰いてぇんだよ!! 俺達は!! その為の大音楽祭だ!!」
「それが理由かよ!!」
ねぇそれ、普通に『使って欲しい』って頼むんじゃ駄目なん?




