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ダンジョンをアタック

 やけに厳重な鉄扉が開け放たれ、俺達は、その中に入って行く。


「……本当に、リティシア嬢も来るのか?」

「当たり前です。わたくし、これでも責任者ですから」


 聖王国では、ダンジョンはかなり厳重に管理されてるらしく、発見されたダンジョンは、即国の管理の下に置かれて居るっぽい。

 魔人族の国も国の管理に置かれているのは変わらないが、こっちほど厳重じゃなかったよな。

 俺は魔力装甲を纏った状態で、抗夫や調査員と言った連中の後を付いて行く。リティシアは軽装の皮鎧を着こんだ格好で、俺の隣を歩いて居た。


 俺の他にも雇っている冒険者が居て、各々が護衛対象の側で周囲を警戒している。まぁ、俺実は冒険者とは言えないんだがね。


 俺の仕事は調査員の警護な訳だが、実際にはガーディアンとの戦闘要員って事になる。俺が警護している一団が、その調査員なんだろう。リティシアと共に、その一団に付いて行くと、広い坑道の先にダンジョンが見えてきた。


「成程、兵器()()()ね」


 目の前に現れたのは、成程、研究所と言って思い浮かべる様なドームと台形が融合した様な建物。頂上にパラボラアンテナとかついてたら、昭和のアニメなんかに出て来る研究所そのまんまじゃね?


 てか、遺跡(ダンジョン)の全容を掘り出したんか。凄いな。


 フロントから入り、魔人族国のダンジョンと同じ様な受付で入館証を受け取ると、各々、自分達の持ち場に散っていく。

 うん、ヤッパリ思ってたダンジョンアタックと違う。


 むしろ前世の改修業者な感じだわ。


 所々木材で補強された通路を進む、許可を貰ってるからだろうが、途中での邪魔は入らなかった。


 そして来たのが騎士像の並んだ回廊の様な場所。この像全部ガーディアンか?

 正面には、台座に乗った一際大きな厳つい像。

 こいつを倒せば良いんかね?


 と、思ってたんだが、その“扉”は普通に通過だったわ。


 で……


 ガーディアン。うん、ガーディアンかぁ……


 何かね、半身半蛇の巨大なモンスターらしいモンスターが、豪奢な装飾を施された宝物庫をトグロを巻くように蛇身を巻き付けて守護しつつ、こちらを威嚇している。


 ここに来てのファンタジー感。逆に新鮮だわ。


 質感的に有機物っぽい感じなんだが、これも魔法生物ってやつなんじゃろか? ロボ作ってみたり、バイオノイド作ってみたり、古代の文明ってのは、どこに向ってたんだろうかねぇ?


「コイツを倒せば良いのか?」

「はい、申し訳ないのですが、この先に行く通行証をどうしても手に入れられなくて」


 ああ、これ、お使いクエストか。

 『~やってくれ』とか『~持って来てくれ』系の。通行証が無いんで、それを探してってのが本道なんだろうがね。ゲームでなら。

 本当であれば、宝物庫に入る為には、ここのセキュリティーレベルに応じた通行証が必要なんだろうが、あいにくと今は、それを承認できる人間が存在しない訳だ。


 最低でも数百年ってレベルで時間が経過しているのを考えると、良くそのまま残ってたなぁって、感心できるわ。


「……まだ、このダンジョンは探索途中なんだろ? 通行証が見つかるってのは期待できんのか?」

「それは分かるのですが、こちらにも事情と言うものが有りまして……」


 事情ねぇ。動いてるダンジョンってだけでも貴重だろうに、その中の現役ガーディアンを潰してでも欲しい物が、宝物庫の中にはあるって事だろうかね?


 そうなると、この宝物庫の中に入ってる物をリティシア達はある程度把握してるって事だ。

 どうやって知ったんだ?


 いや、これは余計な詮索か『宝物庫=武器庫』って聞いてる所為で、どうも裏読みをしちまう。


 俺の仕事はガーディアンの排除だけだ。それをやれば良い。

 リティシア達には下がって貰い、俺は1人、ガーディアンに近付く。


『警告だぁ……キサマの通行証のセキュリティーレベルは、この先に進む事を許されていない!! 早々に立ち去れぇ!!!!』


 ふうん。やはり警告はするんだな。俺が確認の為リティシアの方を見ると、彼女は『行って下さい』とばかりに首を縦に振った。

 恐らく前回来た時は、ここで撤退したか、一当てした後で、勝てないことを悟って逃げ帰ったか……そう言えば、これって俺が勝った後、他のガーディアンとか引き寄せないんだよな?

 いや、その検証は出来ていないだろうな。恐らくだが。


 魔人族の国では、“扉”のガーディアンについてファティマ達がそこそこ知識があったおかげで、余計な戦闘とかせんで済んだ訳だが……


『警告だぁ……キサマの通行証のセキュリティーレベルは、この先に進む事を許されていない!! 早々に立ち去れぇ!!!!』


 踏み出した俺に、二度目の警告。どうにも嫌な予感が頭を過る。

 こういった時の予感って、結構バカに出来ないんだよなぁ。


「なぁ、リティシア嬢。コイツを倒しちまって、今度は他のガーディアンがこっちに来たり、ダンジョンが自壊したりとかしないよな?」


 ああ、うん。良く分かった。俺に訊ねられたリティシアや研究員達は、『その可能性は考えて無かった』と言う表情で、お互いに顔を見合わせる。


「はい! いったん撤退!!」


 創作物では良く有る展開やん!! ガーディアン倒すと遺跡が崩壊するとか!!

 これは、そう言った文献が残っていないのか、それとも、他のダンジョンではガーディアンを倒しても平気だったのか。

 例えばこれで俺一人でダンジョンを探索してるって言うなら『やってみてから考える』って事でも良いんだがよ。

 ここには他の研究員も冒険者も居る訳なんだからさ。そう言った最悪の状況ってのは、いくら考えておいても、考え過ぎって事は無いんだ。

 例え、建前上でも、俺のメインの仕事はリティシア達を守る事なんだからよ。


 宝物庫から離れて、今は研究者達とリティシアとで話し合いの真っ最中だ。内容は、さっき俺が言った事。他のガーディアンの動向と遺跡の自壊について。


 喧々囂々と話し合いはして居る様だが、どの意見も決定打には成らない。要は情報が足りないからな訳だ。

 俺としては、そんな状態で話合いをしてても結論なんざ出ねぇと思うんだがね。

 まぁ、今はどんな結論だろうと、早く出てくれれば良いんだがねぇ。

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