会議は回る
遅くなり、申し訳ない。
『【回答】見せつければ良いのデス!! オーサキ領の【赤き闘いの神】の力と言う物をデェス!!!!』
「無駄に力を誇示する気は無いんだが!? それと【赤き戦いの神】呼びはやめれ」
外部からこの領地に来た旅人やら冒険者やらが余所で聞いた噂話のせいで、【ドラゴンスレイヤー】ってか、俺と言う【ドラゴンスレイヤー】に対する悪感情を『どげんかせんといかん!!』って言う様な話をみんなの前で相談した所、ジャンヌがそんな事をのたまった。何か隣でイブもうんうんと首を縦に振ってるし、何だかなぁ。この、似たもの師弟。
いや、言いたい事は分かるし、そもそも“俺”って言う人物の力って物が分からないからこそ、あんな噂話に踊らされている訳だから、力そのものを知らしめてやればこう言った事は起こらんだろうさね。
邪神相手にこそ、【闘神化】までしても、追い返すのがやっとだとは言え、俺自身、それ程弱いって心算は無い。
そう言いきれる程度には、日々、修練に励んでは居るし、その為の努力はして来てるからな。
それに、『百聞は一見に如かず』と言う訳ではないが、俺の戦闘能力を見せる事が出来れば、その辺りの評価をひっくり返せもするだろう。
実際、俺のOHANASHIを見た連中や、大会で俺の【闘神化】を見た連中なんかからは、俺の事を侮って見られるって事は無くなったし。
ただ、それは、別の厄介事を引き寄せる引き金にも成りかねんのがなぁ。実際、【闘神化】出来る事が魔族に広まっちまってるから、魔族の強者には目を付けられてるらしいし、それだけでも厄介なのに、時折、邪神すらちょっかいを掛けて来てる訳だし。
力が有るのに、その力を見せつける事によって、厄介事が引き寄せられたら本末転倒なんよね。
そもそも、既に広まってる範囲からすれば、この街に来た連中にだけ、その都度力を見せ付けた所で焼け石に水でしか無いだろうさ。
ただ、このネットもテレビもない世界で、一気に多数に俺の力を見せる手段ってのが無いってのも事実な分、効果的に噂に対する事実の否定の出来る環境ってのが無いから、下手に力を見せたとしても『無駄な力の誇示』で終わる未来しか思い浮かべられんのよね。
『【提案】ならば、傭兵国の闘技大会で優勝すれば良いかと』
「傭兵国の闘技大会?」
傭兵国ってアレか? バフォメットことテモ・ハッパーボが所属してるギルドが有るってぇ国の事か?
てか、優勝するの前提で話さんで貰えんかな? いや、その辺の有象無象に負けるつもりもないがさ。
『【肯定】あの国の闘技大会は結構な知名度が有りますし、優勝すれば、現状出回っている噂など、一遍に払拭出来るでしょう』
だから、優勝前提で話を……いや、もういいや。
優勝するとまでは言わんが、そこそこ良い成績を出せたならば、確かに噂を払拭出来るんだろう。だが、あそこの冒険者ギルドのギルマス、バルバトスってぇ魔族だったよね? だとすると、同じ魔族の隠し玉とか居そうじゃね?
『【得意】隠し玉ごと粉砕してやれば良いデスッ!!』
「んっ!!!!」
どんなデストロイヤーだよ。




