後を引く噂話
遅くなって申し訳ない。
色々と重なって、書き進める事が出来ず、こんなに掛かってしまいました。
本当に申し訳ない。
厄介事が来ると分かっていても、日々の仕事が無くなる訳でもなく。
今日も今日とて、お仕事お仕事。時々モフり。
最近は文官たちが育って来たってぇ事も有って少なくなって来た書類だが、それでもまだまだその量は多い。どっちかって言えば、頭脳労働より肉体労働派なんだがなぁ。俺。
書類仕事が一区切りしたんで、イブがお茶を淹れてくれている間に、ヘソ天してるミカとバラキを同時にモフる。【プラーナ】を流しながら。
こうすると、2頭共、蕩ける様な表情で体を弛緩させ、リラックスしてくれるんで、やってて楽しいんよね。
これがウリ辺りだと、身を竦めてビタ一動かなくなる。その割には尻尾が随分と反応してるけどな。どうも、感情を制御しようとかしてるらしい。戦う漢としては正しい反応だが、しかしアヤツも我が家族。
身内の前でまで、気を張り続けるなど無粋の極みやん。
その内、アイツもヘソ天させちゃる。
「トールさ、ま、お茶」
「ありがとうイブ」
手を止めた事に不満そうにするバラキを一撫でして、お茶の用意されたソファーの方へと腰を掛けると、当然の様にミカが足元に寝転び、バラキは俺の太股に顎を乗せた。
お茶を飲みながら、目を通していて気に成った書類を再び読み込む。
TCGの大会が有るってぇ事で増えていた、外から来た冒険者と、家の住民とのイザコザなんだが、大会が終わった後も少しずつだが、増加傾向にあるらしい。大体が同じパターンで、【ドラゴンスレイヤー】の陰口を叩いていた冒険者に、家の住民が、その事を見咎めて食って掛かるってなぁ。
邪神崇拝者が広めた噂話の所為かと思っていたが、その辺りは関係なかったっぽいな。いや、正確には、ソレも原因の一つだったってぇ話な訳だな。
正直、恨みを買う理由なんて幾らでも思いつく。俺が何か悪さをしたからってぇ話ではなく、単純に正しい事をしたってソレについての逆恨みをする連中だって居るし、単に俺の現状を妬んでってぇ事も充分あり得るからなぁ?
ただやはり、“俺”本人を名指しでの話と言うより【ドラゴンスレイヤー】ってぇ者に対しての話をしているっぽいのがね。
とは言え、この領地内で、【ドラゴンスレイヤー】と言えばイコール“俺”だからね。【ドラゴンスレイヤー】の話をしていたら、“俺”の話だと思うのも無理は無いだろう。
だとして、何故、【ドラゴンスレイヤー】を貶める様な噂話が広まってるのか? う~ん。まだ情報が集まり切っていないな。ちょっと分からん。




