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狸の子だからって必ずしも子狸に成るとは限らないけんどもさ

「こ、この度は、ご迷惑をお掛けし、大変、申し訳なく思いますの」


 ひどく不承不承と言った様子で、お嬢様が俺に頭を下げる。

 俺、辺境伯、彼女、公爵家ご令嬢。実は権力的に言えば、俺は侯爵家とも同等で、お嬢様は公爵家ではあっても、当主本人じゃなく、その子息令嬢なんで侯爵家と同程度の扱い。ただし、言っちゃぁアレだし、男女平等をうたってた前世の世相としてはアウトなんかも知れんが、今世はまぁ、そう言ったフェミニズムもまだまだな文明度だからなんだろうけど、女の子ってぇだけで、一枚落ちちまうんよね。格として。


 だから、他の貴族連中ってか、他の侯爵子息辺りからですら、自分より格下扱いされっちまうんで、多分そう言った事も頭の隅にあるのか、えらく屈辱だと、表情に有り有りと書いてある。

 それ以前に彼女的には、俺に対する蟠りが何一つ解決して無いからなぁ。


 そんな状況で彼女が頭を下げなけりゃいけないってぇ理由はただ一つ。俺が【闘神の神子】てぇ事に成ってるからだ。

 いや、実際は同じ【プラーナ使い】ってぇだけで、闘神から神託貰ってるとか何か継承してるとかってぇ訳じゃぁ無いんだがね。


 それでも、目の前で闘神を降臨させて見せたってぇのは、結構なインパクトがあったっぽい。少なくとも、建前上だけでも(こうべ)を下げなくちゃいけないと思わせる程度には。


 正直、この国じゃ特に神様だとか、それを祭る神殿の権力が高いってぇ事は無いんだが、それでもマジモンの神様を敵に回そうとは思わないっぽいし、皇国との力関係とかも有って、無視するってぇ訳にも行かなかったらしい。

 皇国は大陸有数の武力国家だし、始祖さんが闘神の化身かも? って逸話の有る国だから、闘神を降臨させられる俺の機嫌を損ねる事で、間接的に、皇国との関係にも瑕疵を作る事にも成りかねないとかって、懸念が生まれたんだろう。


 大会からこっち、何やらギルド経由でヘッセンバルク公爵(じぶんのおとっつぁん)と連絡を取り合ってたみたいだったけど、結果、こう成ったっぽいんだわ。

 公爵に釘を刺すとこまでは俺の想定だったけど、彼女に恥をかかせるってぇ心算はそんなには無かったから、まぁ、後でネタばらし……別にゴーレムを食い物にしようとか思ってないってのは、話しておく所存ではあるがね。


「謝罪は受け取りました。こちらこそ、アベル殿()にはお世話になりました」

『うむ、助力と成れたのなら、何よりだ』


 アベルは現状、また、ずんぐりむっくり体型に戻っている。リアル頭身の時は攻撃出力は上がるが、防御力的には下がっちまうんだそうな。

 それに何より、エネルギー消費が激しいんだと。

 そんな理由も有って、お嬢様の護衛として、普段は防御重視の形態に成って居る事が多いって事らしい。


 まぁ、それはそれとして、ヘッセンバルク嬢、まだしばらく家の領地に滞在する事に成ったんよね。まぁ、公爵的にはガチ神子との繋がりとか、垂涎だろうし、それでなくとも俺の周囲って、王女が二人ほど居るしな。そっちとも知己を得ておきたいんだろう。

 本当は、()()()()公子をこっちに送り込みたそうな事を言われたらしいんだが、思惑が透けすぎてて笑いも起こらんよね。


 その辺は、ネフェル王女にしろヘンリエッタ王女にしろ、簡単に察する事が出来た様で、ハッキリと拒絶されたんで諦めたらしいよ。ヘッセンバルク公。

 まぁ、不興しか買わんと分かってて、送り込んでは来んだろうさね。

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