踊る阿呆に見る阿呆
大会は進み、2日目に成った訳だが、それぞれのグループでの上位四人が決まり、総数は16人まで絞られた。
この辺りに成れば、それまでの演出が、精々せり出すカード台位だったものが、各種攻撃エフェクトまでが解禁となり、この大会の為に努力して来た魔術師の皆さん達も花舞台となる。まぁ、裏方ではあるんだけんども。
この大会の為にジャンヌが新しく作った魔術は、一種の幻覚と光魔術の複合魔術で、集合無意識化に展開された領域に保存された映像にアクセスして、そこから映像記録を呼び出して投影すると言うものであり、これは、入力と出力の魔術を完全に分離させる事でそれぞれの魔術における術者の負担を減らせると言う利点が有るらしい。
もっとも、インプット、アウトプットの両方の魔術を覚えるとなれば、相応に負担が掛かる訳だが、普通にこの大会上で使う分にはアウトプットだけだしな。
ただしその代わり、ある程度の魔術知識と、それ以上の魔術に対する“愛”が必要に成ると言うものなんだそうだ。
『【満足】これ、殆どの魔術師共が、“愛”に関するハードルを越えられていたと言うのは、嬉しい誤算だったのデス』
「……これ、俺とかおまいらの“絆”のソレを参考にしてるだろう?」
多分、聖武器内の共通クラウド上のライブラリと原理は同じだと思うんだ。
『【肯定】デスデス。集合無意識へのアクセスは、魔法使いとしては初歩の初歩なので、そこの展開された……疑似アカシックレコードへのアクセスへの間口のハードルは元々低かったのデス。ですが、殆どの魔術師が使える様に成るとは思わなかったのデス』
まぁ、どれ程ハードルが低かろうと、俺には使用できんのだがね。
そんな訳で、新魔術のお披露目でもあるが、この裏方に参加してくれている魔術師の人達にとっても、新しく覚えた魔術のお披露目でもある訳で、結構な気合が入っている様で何よりではある。
2日目に関しては、俺は完全に顔を出す必要って無いんだが、それでもイブ達の出番がこの日からな事も有って、俺も見に来た訳だ。
それに、解説役が居る事も有って、見ていて勉強にもなるしな。
俺の戦術は、基本的に一点突破タイプで、キーと成る攻撃を行うカードを効率よく手札として入手し、それを出来る限りバフで強化しつつ相手をデバフで弱体化させて、相手を一撃必殺で倒すと言うのが基本に成る。ただ、相当効率良くやらないと、この手の型に嵌った方法ってのは、相手の方の攻撃にさらされ易く成るし、相性次第では、攻撃まで手番を持たせる事が出来なかったりする。ただ、嵌った時の爽快感は段違いだがね。
それはそれとして、参加者には説明はしてあったが、それでも自分達の攻撃やら魔法やらのカードを出した瞬間に、それに応じたエフェクトが発せられると言うのは、結構な感動があるらしく、エフェクトが出る度に、その演出が終わるまで、対決している双方の動きが止まるって事も有って、一試合にかかる時間が、昨日までの比じゃぁないな。
まぁ、大会演出そのものが派手になった事で、観戦者の方の不満も無い様だがね。
俺としても、前世の、その手のアニメを見てるみたいで楽しいがね。




