Opではある
済みません。体調を崩してぶっ倒れてました。
こっちの不安とかそんな物は関係ねぇとばかりに日にちは進み、とうとう『対決』大会初日の朝に成った。
いや、まぁ、最初は1日で済まそうと思ってたねんで? せやけど、大会参加申し込みがようさん来よってんね。
それ無視して参加者、館ん人間“だけ”にするんなんて出来やせんやろう?
まぁ、そんな感じで、結局、大会が全3日の開催スケジュールに成っちまったんよね。
俺の参加するのは3日目の、更に一番最後。決勝戦を終えての、その後の特別試合な訳なんだが。
そう言う意味じゃ、特別、参加者の中で対戦しないといけないってぇ相手も居ないんで、3日目だけ来てれば良い訳なんだけど、それでも商会のオーナーとして、領主として、オープニングセレモニーでの挨拶は必須らしいんで、嘆息しつつも、朝から会場入りしている訳だ。
んで、今はぽつねんと、一人、控室。挨拶だけだからと、こうやって舞台裏の控室に一人居る訳なんだけど、犬達は居れども、イブすら居ないってのは、相当珍しい事なんだよね。
まぁ、スタッフとしてアレコレやってるらしいんだけど……俺? 『領主様がスタッフに混じって動いてるとか、混乱の種にしか成らないんでジッとしてて下さい!』って、結構な強さで言われたんで、大人しく待っているんだわ。うん、スタッフの指示者より地位的に上の立場の人間が普通のスタッフに混じってたら色々問題だよね。わかるわかる。
その指示出してるのがファティマ達なんだから、その使い手ってか、一応にも所有者である俺が居ると邪魔にしか成らんよな。うん。
そんな訳で、俺は今一人でミカとバラキをモフってる訳なんだわ。
「……いや、やる事ないんだったら、もっと後で来ればよかったな」
何となくイブやファティマ達が会場に向かうからって、その時に一緒に来ちまったのは、早計だったな。うん。
てか、ラミアーとセフィも朝から見ないんだが、何だろうね? 別にスタッフってぇ訳じゃ無い筈だし、今日は特に別の所に行く用事とかも無かったと思ったんだが。
それはそれとして、そろそろ時間の筈なんだが。演出の関係上、舞台としては闘技場ってか訓練場の方を解放している訳なんだが、そこに作られた特設ステージで、開会のあいさつなんかをやる感じか。正直こんな事を想定してた訳じゃ無いんだが、領主館と訓練場が離れてるお陰で、警備の形態がややこしくならなくて済んだのは助かったわ。
「トール様、そろそろお願いします」
「分かった」
流石に一兵卒の名前までは把握して無いけど、確かに訓練場では見た事のある兵士が俺を呼びに来た。てか、こんな兵士迄スタッフとして借り出してるのか。それとも警備員替わりで、“俺”の呼び出しだから使われただけなのか。まぁ、良いか、不審人物ってぇ訳じゃ無いし。
舞台袖の方まで近付くと、俺の記憶的には馴染みのある。しかし、この世界では早々耳にする事なんざ無い筈の楽器の音色が聞こえる。
……いや、結構最近聞いた気がするけれども。
舞台袖からのぞき込むと、居たわ。件の魔導楽器持った面々が。
いや、何やってるの? 家の娘達。




