冒険者だからって反骨者精神の塊ってぇ訳じゃ無い
「あん!!」
「あおん? わん!!」
『【請願】マイマスター、排除の許可を』
『【静怒】アドミニストレーター、舐めた事言う奴は分からせるデス』
「ん!」
「とーるんの為に怒ってるんじゃ、ないんだからねぇっ!」
『やるよぉ、やっちまうよぉ』
……アドミニストレーター? 何だっけ? 確か、前世で、PC弄ってた時に聞いたような? 『全権行使者』みたいな意味だったか? 違うか? まぁ、良いけど、それ、俺の呼称なの?
いやいや、聞き慣れない呼び方に意識持って行かれたけど、そうじゃない。
「いや、放っておけ」
『【不満】貴族は侮られたら終わりでは?』
『【得意】二人程度、この世から“消滅”させるのは訳無いデス。証拠も残らないデェス!』
いや、怖えぇよ! てか、ま魔物'Sだけでなく、イブもコクコク頷かない!!
普段はそうでも無いのに、俺が悪く言われただけで、倫理観吹っ飛ばすなや。
ぶっちゃけ、陰口ってか悪評を語られるのは気分が悪いが、聞いてる限りただのやっかみで、つまりは『あいつは幸せそうだから狡い』って言う感じの意味のない愚痴なんだよ。
そんな事に一々反応するのも無駄だと思うし、それに……
「おい、ウチの領主様に、何か文句あるのか?」
「ああ?」
「ウチの領主様はなぁ、外敵が有れば、一番に飛び出してく位の武闘派なんだぞ?」
「あ、いや、別に……」
「お前もアレか? 領主様に空に飛ばされたいのか? 命知らずなのか?」
「え? そ、そら?」
前から居る冒険者の皆さんが、酔っ払い二人に文句を付けにってか、あれ? フォローに成って無いんじゃね?
あと、こっちチラチラ見ながら言うなや。アピールが露骨すぎんぞ? てか、流石に俺が居るのは分かってるみたいだわ。まぁ、ここん所、頻繁に訪れているからか、冒険者達も、俺の顔は流石に覚えたらしいやな。
酔っぱらって、俺の陰口で盛り上がってた二人組の冒険者達は、彼ら以上に屈強な歴戦の冒険者連中に取り囲まれ、目を白黒させる。
「むふぅ」
『【得意】これがマイマスターの人徳ですねっ!』
『【闇笑】あの二人、これでもう終わりデェス!』
「オイオイ、死んだぜ、アイツら」
『むしろ養分~』
いや、流石に私刑に成りそうなら止めるよ?




