コール・オブ・ジャンヌ
これだけの事を書くのに、随分と時間が掛かってしまいました。
遅くなり申し訳ない。
『【帰還】ボク、参上!! 満を持して!! デェス!!』
何でかそんな台詞と共に、片手を胸の前に添えて頭を下げるジャンヌに苦笑する。
まぁ、この通り、ジャンヌがようやっと帰って来た。俺が成長する度に、その都度その都度バージョンアップと調整を強いられてたファティマは、その所為で戻って来るのが遅く成った訳だけど、それらのデータを参考にしてバージョンアップをしに行ったジャンヌも思ったより遅い帰還だったな。
まぁ、それでもタイミング良いっちゃ良い感じやね。ちょうど大会も始まるし、優秀な魔法の使い手は居れば居るだけ有難い。
ジャンヌの方はとんがり帽子にローブ系だった外観が、とんがり帽子なのは変わらないけんども、ローブと言うよりはマント風に変わっていた。
その上で手に持って居る魔法媒体の杖も、パワーアップしてる感じ。
ただし等身は前と変わらず一寸ちみっ子風味。改造以前はファティマもジャンヌも同じ様な頭身だったから、随分と個体差が出て来たよね。体型的な。
まぁ、そもそもメイドと魔術師だったんだから、性格的には結構な個体の差は有ったんだろうけんどもさ。ただ、頭身ってか体型的な話をすれば、一番最初に出会った時は、聖武器全員が同じ様な感じだった事を考えると、ファティマが文字通り、頭一つ分大きく成ったってぇ感じか?
『【得意】筆頭聖武器ですので』
あ、はい。
その聖武器の序列って、どうやって決まってるのかな? ワタシ気に成ります! てか、聖剣が筆頭だった時は、別に彼奴、頭身高くなかったよな?
『【不満】武器的な特性の所為デス。ボクは最初のランス形態から巨大化する必要が無かったと言う事なのデス。ただ単に、聖斧は大きく出来る余地があったと言うだけデェス。つまりは、ボクの方が武器としての完成度では上だったと言うだけの話デェス!!』
『【笑止】それは私の潜在的な成長の大きさ、つまりは器が大きかったと言う事です。そもそも、もっとパワーアップしたいからと駄々をこねて先鋒を困らせて居たのは誰だったか。今回はいい加減にして貰う意味も有って、こちらに呼び戻したと言う側面も有ります。もっとも、一番の理由は、今回のプロモーションに協力させる為ですが』
「ああ、やけにタイミングよく戻って来たと思ったら、呼んでくれてたのか」
『【肯定】流石に大会ともなれば、現存のメンバーだけでは余力がなさ過ぎますので』
大会で魔法での演出を行ってくれるのは、イブと、『緑風の調べ』のリシェルの他に【詠唱破棄】か【発動待機】を覚えた魔術師の方々な訳だけんども、【詠唱破棄】よりは【発動待機】の方が多少は難易度が低いとはいえ、それでも使い手は少ない。
まぁ、ほぼ皆無だった【詠唱破棄】よりはマシだけど。
『【称賛】あの魔法使い。才能なしだとは思っていたデスが、それでも凡夫な割にやる様でしたデス。褒めてやっても良いデス』
ジャンヌにぼろくそに言われてたリシェルだったけど、あれから凄く頑張って【詠唱破棄】を習得したんよね。その上で、同じ位、魔法に情熱を燃やしてた魔法職の知り合いにも訓練方法を教えて、その内の何人かも、【詠唱破棄】の習得に至ってる。他人にしっかりと教えられるって事は、その原理なんかも理解出来てるってぇ事な訳だから、俺から見ればリシェルも充分天才の域だとは思うんだがね。
ただ、ジャンヌ的には『“結果的に”出来た』って事と、『成るべくして“成った”』のとでは違う事であるらしい。
何か色々と難しいやね。




