百聞は一見に如かずと言うし
大変遅くなりました。
申し訳ない。
「オレのターン!! ドロー!! 伏せ札を設置した後、【ゴーレム騎士】をガード表示で召喚!! ……ターンエンド」
「次はこの俺のターンだな? ドロー!! クッ、クククククク! クワッハハハハハハハハ!! やはり天は俺に味方した!! 俺は自軍の【ブリキの兵隊】を三体全て生贄に捧げ!! 【腐敗竜カオティックフレアデスゾンビドラゴン】を召喚!!」
「何ぃ!!!!」
「命喰らい現れ出でよ!! 【腐敗竜カオティックフレアデスゾンビドラゴォォォォォォン】!!!!」
あれ、時空の壁を破ってってぇ演出かね? 空間がパリパリと罅割れ、そこに手を掛けて半分朽ちた様なドラゴンがミシミシと言う音と共に出て来る。
いや、【腐敗竜カオティックフレアデスゾンビドラゴン】て。頭悪い小学生のネーミングかと。
って言うか、【ブリキの兵隊】って、生命体なんか? 命持ってる判定だよね? この扱いだと。ブリキなのに。
もはや恒例行事と化した街中での対決風景。今回は紫の青年と赤の少年が闘っている訳だが。何で、こんな光景を態々見ているかと言えば、『対決』をするにしろしないにしろ、ヘッセンバルク公爵家のお二方が、『対決』って物がどう言うものなのかって事を知らなければ、イエス・ノーの判断も出来んだろうって事で、こうやって恐らく街中でやって居るであろう、ソレを見に来た訳だ。
「え? え? どう言う事ですの!? りゅ、竜種が町中に!? ですのぉ!?」
『落ち着けお嬢、幻覚の類であろう』
「え? でも、これだけ大勢の民が同じものを見て居る様なのに、それが動いているのですの!!」
『ぬぅ、それは確かに』
二人も言っているが、他者に何がしかの像を見せる系の魔法ってのは、幻覚だったり光魔法での映像だったりする訳だ。
ただ、幻覚てのは、基本的に個人個人の精神に作用させる代物なので、術者は『怖い物』だとか『悲しい物』だとかって、どんな感情に作用させるかを選択は出来ても、それぞれが見えて居る物にまでってのは、基本、干渉する事は出来ない。
だから、後で聞いてみれば、それぞれが見ていた物ってのは、大概、てんでバラバラな物になる。
逆に光魔法での映像ってのは、ハッキリとした像を見せるんで、誰が見ても同じものを見せる事は出来る。そして、移動はさせられても、像そのものが動くってぇ事は無い。詰まりは固定ポーズ。
まぁこれ、スライドとか、そう言った物を見せて居る様な物で、要は写真を投影して居るだけの様な物な訳だからなぁ。
だからこそ、動いている光魔法の像なんて物、見るのは初めてだろう。
この、像が動いているカラクリは、まぁ、アニメーションして居るだけな訳だけれどもなぁ。
そう、俺から搾り取ったアニメの知識、きっちり活用してやがりますとも。エクスシーアさんはよぉ。




