公爵家ご令嬢なんですって
一寸、ここ迄で限界でした。肉体的に。
色々と申し訳ない。
「くふふっ! 良い!! 良いですの!!」
『お嬢、そう、情欲にまみれた不躾な視線を向けるものでは無い。同性とは言え、流石に失礼だ』
『【不快】……』
応接室でご令嬢に対応している俺の後ろに侍るファティマに、何処かねっとりとした熱のこもった視線を向けるのは、アマルティア・フォン・ヘッセンバルク公爵令嬢。
一応、この国の公爵家の一つヘッセンバルク家の次女さんらしい。まぁ、俺、新年会とか出ても、当主格としか挨拶しないし、娘さんを紹介されても、公称である17才に近い15~20才位の人しか紹介されんからね。
まぁ、目の前の中学生程度の娘さんだと紹介される事は無いんよね。
「アベル!! だ、誰が情欲にまみれているですの!! ただ、わたくしは美しい造形だと感心してただけですのっ!!」
『お嬢の胸中などどうでも良いのだよ。この場合、相手がどう感じるのかと言う事の方が重要なのだ。それから行けば、お嬢の視線は完全アウトだと言っておくよ』
「ぐぬぬっですの!!」
で、この青銀髪縦ロールの娘さん、一体のゴーレムを連れて来てるんよ。アベルと呼ばれている無骨な鎧兜の騎士風なゴーレムなんだが……
絶対、発掘されたアーティファクトだよな? ファティマ達と同じ。
『【否定】私達はあくまで利便性の為に人型に成れる武器です。お間違えの無い様。マイマスター』
「あ、はい」
ああ、メンタリティーとしては武器なんね。




