サディスティックエゴイズム
大変遅くなりました。
まぁ、ザックリ言うと、熱中症で倒れてました。
次のお話は、なるべく早く更新したいと思います。
色々と申し訳ない。
「……………」
「聞こえんよ」
「どうもおっ、ずみまぜんでじたぁ」
「……うん、それで?」
俺の情け容赦無い物言いに、周囲がざわめく。
『【愉悦】マイマスターの容赦無い鬼畜っぷりに、私、興奮が抑えられません! もう弱って自ら謝罪をし始めた少年に更に心を折る為に、自ら『降参』だと言わせようと言う、その冷徹さ!』
いやいやいやいやいやいやいやいや、待ってくださいよぉ。そもそもの話、この勝負って、「俺達をミノース少年のパーティーに入れるとか拒否するとか」ってのが大前提の勝負なわけじゃん? 当然こっちが拒否する側で。
にも関わらず、唐突に謝られるって、意味がわからないよね?
察する事は出来ても、事実、俺達の間で取り交わされた約束とは何ら関係無い謝罪だし。
『もう、勘弁してつかぁさい』ってぇ意味合いの、事実上の降参だとは思うけど、言質は取らんと、『あの時のアレは、そう言う意味じゃない』とか言われても困るからな。
そんな揚げ足取りは、貴族じゃぁ当たり前らしいし。まぁ、俺はそんな事言ってくる様な相手には合った事は無いがね。
「ふざけ、た、発言、した、ぶっと、ばーす」
拳をムンッて感じに胸の前で握り締めつつ、イブがそんな事を言う。
人聞きが悪いですわよイブさん。ほら、少年がビクって反応してるじゃんよぉ。
それにその事に関しては、こっちは理不尽を理不尽で返してあげてるだけですしおすし。てか、ぶっ飛ばすとか何処で覚えたんよ、そんな品のない言葉。
『何でそれとトール様が言うの?』的に無言で首を傾げられたけど、そうね、俺が言ってたわ。むしろ俺が諸悪の根源だったわ。
相変わらず、家の女性陣の俺の心を読む能力の高さと言ったら。ファティマはむしろ【念話】だけれども。
庶民同士なら、ある程度曖昧にしてても構わん所なんだろうけど、こちとら、これでも貴族なんで、曖昧にすべき所と、しちゃ、あかん所の線引きはハッキリさせんと色々後で面倒な事に成るんよ。
そう言う意味では、ミノース少年には、ちゃんと言語化をして貰わないと困るんよね。
「ああ、そうか、そう言えば、俺の自己紹介もしてなかったな」
唐突に声を掛けられて、こんな決闘騒ぎにしちまったんで、ちゃんと名乗ってんかったわ。周囲の冒険者連中は分かってるんだろうが、肝心のミノース少年には、俺の身分は知られてない訳だし。
「俺は、このオーサキ領領主、トール・オーサキ辺境伯だ。お見知りおきしててくれ。俺としても、こんな事にあまり付き合わされたくないんでな」
「っ!!」
俺の名乗りを聞き、さっきまで、エッグエッグと嗚咽を漏らしているだけだったミノース少年が、今度は号泣を始めやがった。
『【感服】流石です! マイマスター!! その情け容赦の無さに、覇王としての片鱗を感じます!!!!』
いや、成らんからね? 覇王とか。




