やっとエンジンが温まって来た所なので
ちょっとここまでで限界でした。
申し訳ありません。
おそらく普段のミノース少年であればギリギリ反応出来たかできなかっただろう攻撃。
模擬斧は短くて軽い分、初速は早いが、槍ほどでは無く、その上、振り回す軌道に成るんで認識し易い。ましてや大ぶりのそれ。
だとしても、一瞬でも見失ってたってのは致命的なんだわ。かち上げられて、後方に転がる。
「へぇ」
瞬間、後ろに引いたのは、戦闘センス故か偶々か。それでも、一瞬意識を飛ばそうとした攻撃だったんだが、どうにか意識は繋いだらしく、ゴロゴロと転がって間合いを取る。
ここでそのまま逃げ出さなかった根性は認めよう。ってかさっきから、俺が認めてるの根性だけだな。
気が付けば振り出しに戻され続け、今は時間を飛ばされた様に接近を許してる。ミノース少年からしたら悪夢の様な時間だろうさね。それでも逃げ出さないのは、やはり自分の腕に自信が有るからか、それとも状況判断が出来て居ないだけなのか。
心が折れてるとまでは行かないが、それでも折れる寸前って感じだろう。攻めあぐねているのではなくて、どう攻めて良いのか分からないって状態なんだし。
けど、だからと言ってそこに立っている以上、俺の方から手を緩めてやる謂れも無い。今度は極力動き出しを消して近付く。
人ってのは、どうしたって動いている状態だけを見て判断している訳じゃぁ無く、動き出しなんかの“予備動作”ってヤツを認識して、その後の行動を予測して対応する。なんで、動き出しが見えないと、唐突に、既に動いていると言う、訳の分からない状態に陥る。
これもまた、さっきと同じ様に、ミノース少年から見たら時間を飛ばされた様に見えるだろう。こう言った動き出しのクセってぇ奴を操ったり見極めたりする事も、【名人】と【達人】の差でもあるんだが、まぁ、ここまで反応出来て居ない所を見れば、その境地に至っていないんだってぇ事が良く分かる。
そして再びのフルスイング。流石に今回は、動きそのものは見せていただけあって、ガードしようと腕は動く。が、その程度の反応速度じゃぁ割り込ませる事は出来んよ。
ガードしようとした分、回避が出来ずにモロに飛ばされる。放物線を描いて、地面に叩き付けられる前に、回り込んでの打ち上げフルスイングでの山なり空中遊泳。
流石に、この状態で地面に叩き付けられれば、大ダメージどころか、即死するかもしれないんで、空中キャッチからの回復を挟んでで、またしても空中にリリース。
結構なバウンドをして地面を転がって行った先で、うつぶせのまま動かないミノース少年。周囲もざわつき始める。が、俺は鍛錬場中央部で、ミノース少年に模擬斧の頭を向けて、黙って構える。だってこれの決着、お互いの敗北宣言が無ければ試合終了には成らないって、お互いに決めたからね。
だからまぁ、そこですすり泣いてないで、とっとと構えてくれねぇかな?




