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唯我独尊ってこういう感じかね?

 遅くなりました。

 申し訳ない。

「……取り敢えず断る!」

「何でだ!!」


 俺は無言で新人少年を指差し、さっき迄相手をしていた中堅冒険者に視線を送った。

 中堅冒険者の方も、困った様な、面倒事に巻き込まれちまったってな感じでため息を吐く。


 いやまぁ、気持ちは分かる。気持ちは分かるんだわ、俺だってああ言った輩の相手なんざしたかぁ無い。けれども、既に巻き込まれちまった現状、成るだけ早く厄介事なんざ片付けっちまいたいんよね。その為には、少しでも情報が無い事には、判断も付けられんのだわ。

 それに、新人少年の態度にイブさんも不機嫌に成って来てるし……

 ただ俺としては、あんまり後腐れとか無い様に終わらせたいんよね。後々厄介事に成った方がマジ面倒だし。


「いや、まぁ、オレ等もさっき会ったばっかなんですがね? どうやら、商会の護衛にくっ付いて来た様なんですが、ただ、どうも、この近くの領地で冒険者に成ったってぇ事でも無い様なんですわ」

「ああ! オイラは海を越えて来たんだ!! あんた等が想像もつかない冒険をしてな!! けど、こっちの大陸に来てビックリしたぜ!! あんまりに、魔物も冒険者も弱っちくってよ!!」


 中堅冒険者のオッサンの言葉を遮る様に、新人少年が自分を語りだす。

 違う大陸、ね。海を越えてって、また、あの馬鹿騎士みたいに小国群生まれかとも思ったんだが、聞いてる感じ、そう言う訳でもないっぽい。

 あれだ、こっちで言うゴブリンがその土地ではホブゴブリンに成ってる的なアレかね? 確か俺達が“扉”で赴いた先に、そんな感じの大陸とかも有ったし。

 てか、海を越えての大陸移動とかしてるなら、別に新人ってぇ訳でも無いんか?

 とは言え、雰囲気や佇まいを見てる限りじゃ、そこの中堅のオッサンより弱いってぇ感じなんだが、にも拘らず、『この大陸の冒険者は弱い』と来たもんだ。


 さて、俺の目が曇ったのか、それとも、自信過剰なのか分からんな。


「自信があるから、その口の利き方だってんなら、一寸、俺と手合わせしてみるか?」

「はぁ? お前とかぁ?」


 俺が手合わせを申し出ると、あからさまに馬鹿にした様子で少年がそう言った。その少年の言葉で、周囲の冒険者達の顔色が、更に悪くなる。

 いや、来たばっかの新人……疑惑のある冒険者の態度くらいで、怒ったりはせんよ。

 まぁ、あんまりふざけた事さえ言わんかったらなぁ?


 ただ、隣のイブさんのご機嫌、沙汰に悪く成ってるんで、どうにかしたい所。てか、イブさんのご機嫌に呼応するかの様に、ミカとバラキも俺の隣で尻尾をピンっと立ててるのがね。


 コレはつまりあれだ『()っちゃう? 殺って良いよね? もう殺るよ?』って言うカウントダウンの様な物だからね?


 そんな(ウチ)の女性陣の怒りなんざ全く気に成らないのか、少年は、俺の事を見定める為なのか、ジロジロと不躾な視線を送って来た挙句、フンっと鼻で笑って来た。


 その態度に、周囲の人間の顔色が更に悪くなった。てか、中堅冒険者連中なんで、白を通り越して土気色にまで達しているんだが……

 変に自分達が少年に絡まれた所為で、俺にまで被害が拡大したとか思ってそうだわ。いや、俺は全然、そんな事は思って無いし、なんなら、ちょっと同情もしてる。まぁ、後でフォローはしておこう。


 取り敢えず、コイツは空気を読むって事の出来ない人間だってのは、良ぉく分かった。


「殺、って、良い?」

「アオン?」

「ワン! ワオン?」

「止めなさい」


 コレはあれだ、俺がどうにかせんと、少年、この世から消滅させられるかもしれん。マジで。

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― 新着の感想 ―
[一言] さぁOHANASHIだ! そしてOKURIKAESHI(送り返し)だ! 生きてね?
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