侵食される日常
昨日は絶不調の為、更新が滞ってしまい、申し訳有りませんでした。
この後、巻き返して行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
「【癒しのエトワール】を守備表示でセットして、ターンエンドじゃい!!」
「ふんっ! ワシは、ワンドロー後、【岩石魔神ロック】を攻撃表示でセットして、オールアタック!!」
「クククッ! このタイミングでトラップカード発動!! 【離反離別のブルータス】の効果で、その攻撃は味方のモンスターカードに対して行われるっ!!」
「な! なんじゃとおぅ!!」
冒険者ギルドの扉をくぐった途端に、そんな声が聞こえて来る。
ギルドに併設された酒場には、カードを楽しんでいる冒険者か居るわけなんだけど、何だかなぁ。
これが煙草と酒とトランプでポーカーなら、ちょっと退廃的で暴力的な男の世界って感じなんだが、やってるのがTCGだからか、ホビーショップの対戦ブース味。
いや、こう言う公共スペースで何やってても文句は無いし、そもそもTCG自体が、この世界では画期的な“新しい娯楽”な訳だから、どんな輩がやってても可笑しか無いんだろうけど、こう、前世の記憶が有るからか、違和感半端ないわ。
そもそも、今やってる輩が大体、『むくつけき』ってぇ形容詞の付く様なゴッツくて厳つい男共だからってのがね。
まぁ、コイツ等がハマった理由ってのが、あんまり褒められたもんじゃ無いってのもあって、こう、ちょっとモヤるんよね。
アイツ等、大体が、一回騒ぎ起こして捕まってる奴等ばっかなんよ。
それも、カードファイターの皆に捕まえられたってぇ経緯がある男共ばっかりなんよね。
で、シスター系のあの彼女に、『この方が悪いのでは無いのです、この方は、こう生きるしかなかったのです!』的に庇われて絆されて、ハマった……らしい。
釈放された後、エクスシーア商会の店で、カードパックを買い漁ったぽい。
ある意味、狙い通りでは有るんだろうけど、ある意味では予想外だろうさね。
ただ、意味で生きてきただろう中で、おそらく商売ではない女性の、しかも若い美少女なんかと交流なんざ無かったオッサンが、清楚なシスター系の娘に優しくされてコロッと行っちまうのは、理解出来なくはないんよね。
いや、彼女は実はシスターでも無ければ、ある意味、商売でやってるんたけんども。
前世では、『現実と虚構の区別がついてない云々』みたいな事で、非難とか有ったりしたけんども、そもそも、それは、まずアニメーションが有りきでの話だった訳だから、この世界では2.5次元が先に来ちまってる以上、どう扱ったら良いかが、いまいち分からんのよな。
まぁ、彼女達に直接的な被害が無い以上、静観しとくけどさ。
ただ、前世の神話何かでも、ピグマリオンみたいな例とか有るってのを考えると、それが虚構だと分かっていても、恋心を燃やす野郎ってのは、一定数いるって事なんかね?
いや、野郎だけとは限らんってのは分かってるけんどもさ。




