2.5次元
『頭痛が痛い』と言う言葉を使うならば、こう言う時なんだろうな、とか思ったわ。
言葉として可笑しいとかってのはさて置き、要は、既に『解決できない』若しくは『解決したくない』と言う状況に対して頭を悩ませている所へ、更にそれ以上の問題が湧いて来て、ただでさえ痛かった頭が、更に痛くなる。と言う状態の事な訳だな。
いや、本当は只の無知故の言い間違いなんだろうが、現状の俺の状態からすると、そんな感じなのよね。
「【悪】は【悪】と言うだけで断罪するべきだとっ! なぁぜ分からん!!!!」
「【罪】は【罪】だと分かって居る!! だが、それは【法】に依って裁かれるべきなんだっ!! 君の様に私的に一方的な【罰】を下すのは間違っている!!」
「そうです!! 確かにその人たちは【罪】を犯しました!! ですがっ!! それなら尚の事、【法】に則って裁かれるべきなのです!!」
三人の男女が言い争っている。いや、正確にはその中央に、一寸ヤンチャしちゃってた冒険者が、既にグロッキーな状態で倒れ伏してる訳なんだが。
ヤンチャしちゃった冒険者を叩きのめしたらしい、紫髪で、こう、紫と白の二色のコートに身を包んだ厨二チックな青年、それに相対しているらしい、赤髪で、同じく赤いレザージャケットを羽織り、胸元に特徴的なシンボルを掛けた少年と、その傍らに居るのは、薄桃色の髪に同じくピンク系のワンピースを着た少女。
どうやら、ヤンチャしちゃった冒険者の処遇で、言い争っている。らしい。
「フンッ! 貴様とは一度決着を付けなければいけないと思っていたのだ!!」
「そうだね、ここで言い争いをしていても埒が明かない。悪いけど、その人達は兵士さん達に渡して、正しく裁きを受けさせて貰うっ!!」
そう言うと、紫と赤の二人はカードデッキを手に掲げ、同時に宣言する。
「「カード、解放!!」」
二人の前方に唐突に台がせり上がり、そこにデッキを置くと、そのデッキの上から五枚を取り、手札として持つ。
と、紫髪の青年がニヤリと笑う。
「オレの先行だ!! ドロー!! そして【ブリキの兵隊】を攻撃表示で出す!! 出でよ!! 【ブリキの兵隊】!!」
と、光のエフェクトと同時に、巨大なおもちゃの兵隊の様な物が青年の背後に現れた。
……うん、茶番だ。そして、その衣装、その台詞。非っ情ぉ~~にっ、見覚えがある。
そうだよっ!! 見覚え有りまくるよっ!! だってそれデザインしたの俺だもん!!!!
なんだろう、自分のキャラクター設定した物を見せつけられるのって、かぁなぁりぃ恥ずかしいんじゃが!?
てか、あのせりだして来た台とか背後のクリーチャーとか、魔法でやってるんだよね? 多分光系の!!
【詠唱破棄】で次々にとか、絶対、やってるのイブじゃん!! え? 練習してたのってコレ? 大会に向けてって、もしかして大会もこの演出やるつもりなの!?
そして、エクスシーアの言ってた知名度上げる考えってコレの事ぉ!?
町中でいきなり始まった“対決”。要はゲリラ的にこう言った活動で知名度を上げて行こうって事なん!? いやいや、一寸斜め上過ぎるだろう!! イヤイヤ、マジでマジで!!!!




