商魂逞しくなりやがって
俺のポロっと言った言葉から、スターターセットの発売は決定したらしい。
「いや、既に買っちゃってる人達はどうするんよ」
てか、そもそも、対戦のルールとかどうやって説明してるんだ? 俺は最初、安易に説明書付ければ良いかなぁ? とか考えてたけど、そう言や、この世界の識字率って結構低いんだった。
「ゲームでの対戦が出来る程、枚数は揃っていないのだから、そちらにもさらに勧めれば良いのでは?」
「ああ、総数としては結構な数が出てるけど、それを所有者数で割れば、一人頭の所有数はそれ程多くは無いのか」
対戦とかルール以前の話だったわ。 そもそもの話、『枚数を集めると対戦も出来ますよ』って位の話でしか購入者には説明とかして無いらしいし、購入者も【ドラゴンスレイヤー】関連の美麗な絵画的な感じでお土産として購入してるっぽいから、対戦をする為に購入してるってぇ感じでは無いらしいんだわ。エクスシーアの話では。
成程、最初からTCGと言えば対戦だとか思ってた俺とは、そもそもの視点が違ってたのか。そう成ると、尚更スターターセットの方にはルールの説明書が必要だとは思うんだが……
「識字率の問題かぁ」
「そうだな」
俺の領地では、子供達と希望者には読み書き計算を教えて居るってぇ事も有って、識字率は高い。
ただ、コレが余所の領地と成れば、話が違って来る。
何せ、貴族の中でも読み書き計算って物が出来ない人間が存在する位だからなぁ。貴族故に手紙とかのやり取りって物が出ては来る。出ては来るんだが、そう言った読み書き計算の出来ない連中ってのは、基本的に部下とか家臣の中に代筆の出来る人間を抱えているそうなんだわ。
ただし本人も、サイン位は練習して書ける様にはしてるらしいけど。
「そうなると、単純に説明書を同封ってだけじゃアレだな」
「まぁ、店の者に口頭で説明するように言っておくがな」
何か、それだけだと忘れそうなんだが。
「一応、ルールも、イラスト付きで説明する様な物を同封するとして、もしアレだったら、実際に体験して貰った方が良いかもしれないなぁ」
多分、その方が説明書を見た時に、思い出し易いと思う。
「ほう? 成程、確かにその方が良いかもしれんな。あれだ、『百聞は一見に如かず』……とは、少し違うが、そんな感じの事だな」
「まぁ、そうだな」
「ふむ、それは、各支店で拡張パックを売る時も、同様の事をするべきだな」
え? 各支店?
「各支店で売る位に量産って出来るのか?」
「まぁ、むしろその為の人員の確保が難しいくらいではある」
つまりは、人手さえあれば量産できる体制は整っていると? いや、優秀過ぎんだろ。この元ガーディアン。
因みに、スターターセット自体は家の領地限定で販売するんだとか。その上で拡張パックだけは支店でも販売できる様にするらしい。
まぁ、その辺り、エクスシーアの領分な訳だから、自由にやって貰いたい。
「うむ、各支店に専門の販売員を送るのも良いな。スターターセットを販売する時には、それを購入した者と、専門定員が実際に対戦して……だとすると、スターターが一種類だけと言うのも寂しいか?」
うん。自由にやりなはれ。




