些細な情報でも集めておきたい所なので
遅くなりました。
申し訳ない。
本当なら、冒険者ギルドへと赴く予定だったのだが、急遽、予定を変更して領館へとリターン。
「とーるん、こんなのに付き合わなくたって良いよぉ」
むくれるラミアーの頭を撫で、宥めつつ、俺達の後ろをついて来る自称ラミアーファンクラブの連中を見る。
そもそも、ファンクラブだとかって概念が有った事自体驚くべき事だとは思うが、何で、ラミアーの前に出て来たのかって事が疑問ではある。
って、ラミアーの頭だけを撫でてたのが気に入らないのか、ミカとバラキも頭を俺に擦り付けて来る。
俺は苦笑しつつも二頭の頭も撫でてやる。
それは兎も角、自ら何かを発信して名声を得たいと思うなら、こう言ったファンクラブとかに対して肯定的なリアクションを取るだろうが、ラミアーは基本俺の近くで俺を護ろうとしてくれている。
それについては、俺が彼女の“食事”を提供しているって事実が有るからでもあるが、彼女が、俺の事を気に入ってくれて居るからだと、そう思っている。自惚れではなく。
そんな関係上、彼女が自分を目立たせて、名声を得たいと思っているとは思えない。
詳しく語られた事は無いが、どうも、古代遺跡にサンプルとして収容される以前、魔物として、人に狩られる対象であった様な感じが時折あるんよね。そんなラミアーが、自ら目立とうとは考えないと思うんだ。
ただ、ラミアーはその存在自体が目立ってしまうのも確かではある。白髪灼眼の超絶美少女。そんな彼女を求めようとする者なんて幾らでも居るだろう。
そう言う意味で言えば、ファンクラブなんて物が起ち上がるのは理解できなくはない。基本的に俺に付いて回って居るとは言え、別段露出が無いって訳じゃぁ無いからな。
この容姿だし、一目でも見れば忘れられなく成る者だって居るだろう。見た目普通に人間種に見えるし。
ただ、だとしても、ファンクラブなんて物を作って、その上でラミアーに知らしめようとするってのが分からない。
普通なら順番が逆じゃないのか? 『ファンクラブを作ります、良いですか?』って聞いてから許可を受けての物だと思うんだわ。
そうでなければ、同好の士の集いである筈なんだから、その存在自体は秘匿されて居るべき物な筈なんだ。だって、自分の知らない所で自分に関する話を集まってしているなんて、普通に考えてもあまり気持ちの良い物じゃぁ無い。たとえそれが好意的な物だったとしても、だ。
実際、ラミアーだってファンクラブだと聞いて眉を顰めている訳だし……てか、ラミアーもファンクラブってぇ概念を理解出来てるんな。
それは兎も角、普通であれば、そう言った事は察せられる物だとは思う。にも拘らず、本来であればラミアーに嫌われる事など良しとしないであろうファンを名乗る者達の集いであるファンクラブの人間が、それでもなお、表に、それも崇められている対象であるラミアーの前に出て来た事が、そもそも疑問だし、それでなくとも彼らについては把握しておく必要がある。そう思ったからこそ、態々話を聞こうと思ったんよね。




