確実に消耗はしている
遅くなり申し訳ない。
前日に落ちて、翌朝早朝に意識を取り戻してのサイクルから、どこかで脱したとは思っているのですが……
こちら全員での攻撃と、邪神一柱での攻撃が拮抗している。腐っても神ってぇ事か。
『わたしもかみぃ』
そう言やそうだわ。ただ、この場所が俺の執務室だってぇ事も有って、あまり威力の高い一撃は出せないってぇのも有るし、邪神の方も全力ではない感じ。
何と言うか、こっちに合わせている感が凄い。
それでも、火花が散り、暴風が吹き荒れている訳だが。正直、この後の事を考えると頭が痛いわ。
イブやミカ、バラキもだが、邪神の垂れ流しているプレッシャーに対抗しながらの力の行使だし、ラミアーはドレイン系を防ぎながらの能力行使。
セフィも相手の身体が小さいって言っても180cmは越えてるが、それでも人間サイズの相手って事もあるし、あまり多い蔦を出現させると部屋が持たないんで、制限してる感じ。
ニヤニヤと無貌の笑みで嗤う邪神は、こっちとの拮抗状態を楽しんでる感が丸分かり。こっちの力だって相当な物だ。にも拘らず、それに合わせている。いや、そうか、拮抗しているから、楽しいのかもしれない。
あれだ、『この自分に、ここ迄の力を出させるとは、誇って良いぞ?』的な? 邪神の方も全力とまではいかなくとも、結構な出力での力の行使とかを普段は出来ないんだろうし、それに拮抗させられる状態ってのが“楽しい”のかもしれない。
前世の物語の中にあった『圧倒的な力を持つと言うのも、つまらない物だ』とかって言う、あれだ。
てか、そんな力を持ってるモノが俺の執務室に来ないでください。マジで。
それは兎も角、拮抗しつつも、じわりじわりとこちら側に手を伸ばして来る邪神。文字通りにな。バチバチと激しく火花を散らしながら、『この位でどうだ?』的な感じで、徐々に込める力を増やしながら。
家の面子もそれに対抗する様に力の出力を上げて……いや、逆だ。こっちは出来る範囲で全力を出してるから、それも有って少しづつ出力が上がっているが、向こうがギリギリで突破できる範囲を探っているって様な?
つまりは『暇を持て余した神々の遊戯』ってぇ訳だ。正直むかつく。
こっちの面々が必死の形相で、歯を食いしばり、冷や汗を流しながら攻撃をしているってのに、向こうは実験がてらって感じなのがさぁ。
まぁ、あからさまな油断だし、こっちを見下してるってぇ事でもあるんだろうがよ。
俺は暴れ回る膨大な【プラーナオリジン】を必死で抑え込み、制御に徹する。そもそもが、巨大な姿を形成する様なエネルギーだ、凝縮する為の力を完全に均一化出来なければ、暴れ回って当たり前だわ。まるで水風船を片手で握って居るかの様なもんだからな。
球形で閉じ込めて、それを小さくしていく様なイメージで。
俺がそんな風に集中している間にも、周囲にはオーラやら【オド】やら【魔力】やらが押し合いへし合いしているが為に巻き起こった暴風が吹き荒れ、そこかしこでぶつかっている力が火花を散らす。
これだけのエネルギーの行使だ、どちらもエネルギーも体力も消費しているのは確かで、滝の様に流れ出ている彼女達の汗が、それを物語っている。
いや、邪神の方は、未だに涼しい貌だ。まだ、余裕がありそうだわ。
だが、どちらも消耗しているであろう事は確かで、それは、やはり弱い者の方が顕著なのは当然っちゃ当然な訳で……




