そもそも相容れない存在だったわ
色々と考えていて時間が掛かってしまいました。
遅くなって申し訳ない。
『おぉ、開闢の古に魂分かたれし我が同胞よ……再びの魂の合一に、我の精神も歓喜に打ち震えん!』
……目の前の無貌の邪神がニッコリと嗤う。ただし、その口元は動いて居ない。これ、あれだ、【念話】だ。もしくは【精神感応】。邪神とは言え、神の端くれって事か?
いや、それは兎も角、ちょっと予想外の様な合って居る様な言い回しを使って来やがったぞ? 何と言うか、面倒臭そうな感じのヤツだ。てか、イラつく。
え? つまりは『会えて嬉しい』って事だよね? しっち面倒臭い言い方してるけども。
『Yes I do.』
いきなり、シンプルにしやがったな!! 余計にイラつくわ!! ってか、【念話】で話したりしてるってぇ事も有るだろうが、コイツも普通に俺の思考を読みやがるのな! ってか、俺の周囲、俺の思考を読むやつ多くないか!?
ギャリッ!! ギンッ!!
俺が、そんな風に思っていると、ラミアーとセフィが俄かに殺気立ち、そして恐らくラミアーが【念動力】で、セフィが蔦での攻撃を行ったのだろう、邪神の周囲に、何かが衝突して居るかの様に火花が散り、蔦が空中でギリギリと軋んだ様な音を立てながら静止している。
「殺すよぉ」
『ころしますぞぉ』
「え? 何?」
今のやり取りの何処にそこまで腹を立てる要素があった? 確かにちょっと、イラッとする感じではあったけど、いきなり、命を狙う程の事だったか!?
と、ファティマも怒り心頭と言った様子で、俺に【念話】を飛ばして来た。
『【警告】その邪神、マイマスターに精神汚染を仕掛けて来て居ました』
「え? マジで」
あぁ、だからイラっと来たのか? 多分、【プラーナ】を活性化させてる所為だろう。無意識で抵抗していたんだな。
てか、いきなり精神汚染を仕掛けて来るって、殺意が高い、と言って良いのか? それとも、俺を取り込みに掛かってるってぇ認識で良いのか? 俺に対して悪意があるのか、それとも好意的であるのか、その意味する所は真逆ではあるが、何にせよ俺に対しては害にしか成らんってぇ事は理解できたわ。
普通、精神汚染なんざしたら、マトモでは居られない訳だからな。いや、もしかして、そんな事を意識してすらいない可能性も有るのか?
何となくだが、邪神から、何故、そんな態度を取られるのか、分かって居なさそうな雰囲気を感じる。
これ、アレだな、下手すりゃ、邪神にとっちゃ、パッシブで発動する能力ってぇ可能性も有るな。魔族の【恐怖】と同じだ。語り掛けるってぇ行為だけで精神汚染されるってぇ事だってあり得るだろう。
まぁそもそも、そこに居るだけで【オド】を含めた生命力と言った物を強奪して行く様な存在じゃん。基本的に普通の生き物とは相容れないモノだったわ。




