違和感程度の話だけれども
遅くなりました。
申し訳ない。
「やった! やった! やった、やった!!!!」
相当に嬉しいのか、ネフェル王女が歓喜を爆発させている。
まぁ、犬達のサポートが有ったとは言え、ほぼほぼ単独での角熊討伐なんて、普通の人には無理だからな。
修行に明け暮れていた成果の1つと言っても良いだろうさね。
「お疲れ様、ネフェル王女。解体は俺達がやっておくから、休みなね」
「はい! 有難う御座います!! 師父!!」
流石に精神的にも肉体的にも疲れたのか、ネフェル王女も素直にキャンピングカーに引っ込んだ。取り敢えず、ティネッツエちゃんとヘンリエッタ王女に付き添いを頼んで、俺達は血抜きと解体。
6mも有るし、重量もトン越えなんで、その辺の木に吊るしても持たないから、太めの木と木の間に、角熊が持ってた丸太を固定して、それに足を引っ掛ける。
全長は6m程ではあるけど、逆さ吊りで前足がダランと垂れて居る事も有って、それらを含めた長さで言えば、優に10m近い。
なのでむしろ穴を掘って体の半分は穴の中。穴掘り大好きなガブリこそ居ないが、他の兄妹も穴掘りは得意ではあるんで、嬉々として掘ってくれた。血が溜まるってぇ事も考えて、穴自体はちょっと深め。
血抜きが済んだら、腹を掻っ捌き内臓を出してから、イブに頼んで血を洗い流した上で、急速冷凍からの解凍。
その後、皮を剥いで肉を切り分ける。その上で、更に冷凍しての荷物の空きスペースに毛皮と肉をねじ込んでおく。
こう言う時、異世界チート御用達のインベントリとか無限収納とかが欲しいよね。
内臓の一部は犬達がおいしく頂き、残りと骨はさっき掘った穴へIN。
取り敢えず、この街道の平和は護られた!! 有り難うネフェル王女!!
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角熊を倒した後の道程では、角熊程の大物は出て来なかったが、それでも角猿やら角兎程度の小物はチラホラと出て来た。
「……魔物との遭遇って、こんなに多い物なんかね?」
少なくとも、以前街道を使用した時には、これほど多くは無かったような気がする。まぁ俺等、普段は森の中突っ切る事が多いんで、遭遇率は街道を行くよりは多いんだがね。
今回もやっぱり森の中突っ切って王都に行ったし。もうちょっと、行き来の回数が増えると、けもの道が出来るんじゃないかな?
それはそれとして、普通に街道を通った場合には、どの程度の遭遇率かなんて事は分からんので、正確な所は言えないんだが、少なくとも、大森林内の街道を警備してる警備の兵達からの報告を聞く限りでは、こんなに遭遇する様な事は聞いて居ない。ましてや、王都近くの方が魔物の生息数は少ない筈なんだ。
普段から俺と行動を共にしているイブ達も首を傾げているし、そもそも、それ程旅をしてはいないヘンリエッタ王女とマリエルも、そんな事、分かろう筈もない。
だが、そんな俺の質問に、ネフェル王女が答えてくれた。
「私が旅をしていた時は、これ程頻繁に魔物と遭遇はしませんでしたね。むしろ、盗賊やら山賊の方が多かった印象です」
色んな所を武者修行していたネフェル王女の話だ、やはり、今の遭遇率は多いっぽい。まぁ、だからと言って、その原因を俺達が探るってぇ訳にも行かないんだが。ただでさえ唐突な呼び出しで、領地から出て来てるんだし。
まぁ、オーサキ領に戻ったら、ギルドの方に話を通しておこうかね。




