うわへいかつよい
仕事の疲れが酷かったので、仮眠してからの執筆に成ってしまいました。
遅くなって申し訳ない。
関係性を悪化させない為には、なるべく皇国の要望は受け入れざるを得んとしても、やっぱり俺としては『時間が作れない』訳だから、お断りをしたい所。
あのお姫さんが俺を指名した理由は分かるが、だとしても、それって俺の領主稼業を疎かにしてでもせにゃ成らん事なのかってぇ話。
確かに俺は身内判定した相手に甘いかもしれんが、だとしても、仕事を疎かにしてまでってぇ訳じゃぁない。
ましてや今回は学院に通うなんてぇ長期間拘束されかねない案件な訳だ。これから領地を継ぐとかってぇ貴族子弟なら兎も角、現役領主だからな? 俺。流石にソレに付き合う訳にゃぁいかんのよ。
そもそも、たとえば、何らかの理由で学院に通っていた生徒が在学中に領地を継ぐ事に成った場合、どうするのかってぇ話でもある。
まぁ、その場合、卒業するまで代理人に任せて、自身は卒業まで学院で学び倒してから、本格的にってぇパターンも有るだろうけど、そうも言ってられない状況も有るだろう。事によっては、本人が、中退してでも自身で領地を治めたいと望む場合だってあり得るしな。
「あぁ、そう言った状況に応じた場合の前例には成るのか……」
「うん?」
「いえ、在学中に領地を継がねばならなくなった場合、学院はどう対応するべきなのかと思いましてね」
俺の言葉に、国王陛下が思案顔に成り、一瞬、思巡し口を開く。
「成る程、そう言った場合の一例に、成り得るのか」
「はい」
本当に、色々と決まって無い事が多いな。一回、学院のルールの草案を見せて貰わんといかんか。
いや、俺が、そこまで踏み込まなきゃいけない理由は無いのか。そう言うのは、ちゃんその筋の専門家の文官が居るんだし、そう言ったプロに任せよう。うん。所詮、俺は素人だし。
「因みに俺は、即時退学する派です」
ってか、通わんぞ?
「そうか、残念だ」
何が!?
******
実際、学院の開始時期も決まってない状態で、皇女さんの扱いをどうするのかって事だけ話してても、その時の状況にもよるんで、結局は“決められない”って事で俺と国王陛下の意見は一致した。
ってか、学院に通って貰いたい国王陛下と、通う気のない俺の話し合いなんて結局平行線にしか成らんのよね。
成程、譲れない物が有った場合に話が拗れるのは当たり前だわ。たった二人で話し合いをしてても、こう、意見が食い違いを見せる訳だし、これが、自分の利益をどう上げるかって事に固執する貴族連中相手だったら、その纏まり難さは段違いに上がるだろうしな。
「まぁ、皇女殿下が御来国の際にはホストはしますし、俺が学院に通えない理由については、俺の方からも手紙を送っておきますので」
「そうか、手間を掛けるな」
そう言って国王陛下がニヤリと笑う。
あれ? もしかして、俺、体よく言いくるめられてないか?
気が付けば、皇女さんの窓口が、俺みたいになってるし、いや、確かに俺を指名してるんだから、そう言った部分も含めて俺が対応しなくちゃ成らん……訳でもないのか、冷静に考えれば、これって外交官の仕事の範囲か?
最近は、“扉”の先の国との外交も請け負ってたから、一寸その辺の感覚がマヒしてたかもしれん。よくよく考えたら俺の領地に“扉”が有る場合なら兎も角、普通に海外の国相手にする理由、俺にはないじゃん!!
何か、『してやったり』的な国王陛下のニマニマした笑みが、むかつくわぁ。
……やっぱり、海千山千の魑魅魍魎相手にするには経験が足りんのだろうな。俺は。




