意識から改革しないとどうにもなら無くね?
遅くなり申し訳ない。
「ただ、俺の所で施してる教育って、本当に基本だけですから」
後は希望募って就職活動。もっとも、子供は職業体験程度だけんども。
家でやってる教育なんて、本当に基本だけだし、何なら、貴族連中で言えば必須の部分。むしろ家庭教師ってより、家令さん辺りが施してそうな部分なんよね。
「そうなのか?」
「はい、読み書きと四則演算程度ですよ?」
俺がそう言うと、国王陛下が奇妙な物を見る顔に成る。
「読み書きは兎も角、四則と言うからには加算減算だけではなく乗算除算もか? そこまで行けば高等な算術であろう?」
「……そう、ですかね?」
四則演算で知識チート的な物って異世界モノのお約束ではあるけど……あーまぁ、足し算引き算出来ればそれなりに生活は出来るもんな。
専門的な計算が必要って事に成らん限り、掛け算割り算ってそんなに使わんのか。
まぁ、収支計算だって、基本足し算と引き算で対応出来るもんなぁ。掛け算やら割り算って、使えれば便利だし、時間短縮できるけど、必須って程、必要って訳でもないんか。
「……まぁ、それが基本と言うか、教えて居る事の全てではありますよね。家の領地で教わってるの、基本、庶民しか居ないんで」
あ、そう言えば、幾つかの基本的な魔法とかも教えてる的な事を聞いた気がする。まぁ、俺には係り合いの無い話だったんで盛大にスルーしてたけど。
まぁ、貴族だと、基本執事だとかメイドだとかがやってくれる部分ではあるんで、貴族だったとしても必須ってぇ訳じゃぁ無いしな。
そもそも、国王陛下の作ろうとしてる学院って、貴族子弟だけなんかね? 何か聞いてると、そうっぽいんだが。
やっぱり、あんまり民衆に知恵着けさせるのは危険だって思想が有るんじゃろか?
「学院には一般市民は通わせないのですか?」
「? 臣民は……そう言った所に通う余裕など無いだろう?」
「成る程、まぁ確かに」
つまりは入学金とか授業料的な話か。てか、義務教育って事で、誰もが支払える程度に抑えてる前世の日本とは色々と条件が違うもんな。
因みに家の領地の教育は義務って程じゃぁ無いが、門戸自体は無料で開いてる。そもそも、教えてるのが基本中の基本……とも言い難いのか四則演算は。兎も角、基本的な部分でもある読み書きと四則演算だからな。
とは言え、屋敷の方で働いてる子供達は必須って事にしてるし、領地で開いてる方は決まった曜日に2、3時間って感じで開かれてるから、学校って言うより、公開授業とか公開講座みたいな感じなんよね。
ふと思ったんだが、通信授業とかでも良いのかね? こう、お手紙とかそう言う感じのアレで。赤〇ン先生的な?
いや、今考えるべき事じゃぁ無いか。
「教育の進み具合のバラ付きが問題だと言うなら、学力調査後に、大体同じ進み具合の者同士でクラスを纏めるとかするのはどうですか?」
「ふむ、そう言った案も出る事は出て居たのだが……」
俺の言葉に、国王陛下の表情が曇る。てか、そう言ったアイデア自体は出てたんね。まぁ、そうか、俺がこんなパッと思い付く程度の事、考えついて居ないわきゃ無いよな。ただ、それで問題って……
「もしかして、爵位的なアレですか?」
「うむ」
あーやっぱりかぁ。つまりは爵位的に低い相手に学習の進みで劣っていた場合、それを公にされるのは困る的な。貴族的矜持ってか無駄なプライドのソレ的な問題が有って、学力を公にされたくない、と。
「それ、根本的に無理がありませんか?」
「……」
黙ってるのは“肯定”と取りますよ? 国王陛下さんよぉ。




