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当然とも言える結末

 仮眠がそのままマジ寝に……

 ちょっとやり方を変えないといけないかも知れません。

 遅くなり申し訳ない。

 アポリオンの腕を弾き、いなし、足元を横薙ぎに薙ぎ払う。翅を器用に使い、崩れたバランスを直したアポリオンが、思わずと言った様子で、距離を取った。


 たった三手の攻防。だが、俺の攻撃に反応しきれなかった事で、アポリオンが驚愕をその目に浮かべ、ギチギチギチと喉を鳴らす。


 恐らくは、俺から発せられている【オド】の様子から何かを感じ、その事も含めて、警戒を強めたんだろう。一旦距離を置くと、そのまま警戒しているのか、こちらの様子を窺う様に四本の腕を構え、“待ち”の姿勢に入った。


「臆病な事だな、もう、攻撃は止めたのか?」


 軽く挑発をしてみたが、動く様子は見えない。さっきまでの積極性が嘘の様に縮こまったまま、コチラをじっと見ている。

 試しに距離を縮めようと動けば、その分、距離を取る。そして俺の方が距離を取ろとすると、後ろに飛び退こうとする様子を見せる。


 うをぃ!! 完全に『逃げ』の姿勢に入ってるじゃねぇか!!


 いや、考えて見れば、相手を蹂躙し、心をへし折り、絶望させるなんて言う感情を好む魔族が、恐らく長年にわたって生存し続けられたのは、魔族として隔絶した実力が有った事と共に、ここまでの臆病さが有った事も、その理由なんだろう。


 “力”に関しては、俺も痛感したくらいに強い事は確かだ。これだけの力が有るのなら、早々敗れると言う事など無いだろう。

 だが、ここで逃げを選択すると言う事は、これ以上のパワーアップは無いのかもしれない。

 だからこその『逃げ』、なんだろうが。


 ある意味、生き汚く潔が良い。


 と、その時、アポリオンが動いた。ただ、軽くジャンプして両足を地面に叩き付けるように伸ばす。それだけの事で、目の前で大地が爆ぜた。


 目くらましか!! 俺が土煙をファティマで散らすと、その時には、バックステップで一気に距離を取ったらしいアポリオンは、俺に背を向け、全力で逃走を開始していた。


「と、逃がすかよ!!」


 一瞬、呆気に取られたが、だが、想定はしていた事態だ。俺は背面の大型バーニアを全開で噴射し、肩部、腰部、脚部の噴射口も背後に向け、身体を一気に加速させる。


 途中途中で地面を蹴りながらも、翅を使い、周囲に衝撃波を起こして跳んで行くアポリオンを更に背後から追って行く。って、音速を越える逃走って、思い切りが良すぎんだろう!!


 衝撃波の所為で、周囲の木々がなぎ倒され、逆に追い易くなっているのは、アポリオンにとっては悪い状況だろうが、しかし、俺としても、ここで敵対的な魔族を逃すと言う選択肢は取れない。今回こそ、一対一での戦闘を望んだが、次も同じ選択をするとは限らんからな。


 これが、バフォメットの様に自己を高める方向に向くになら構わない。その時は同じ様に俺も自身の力を高めて向かえ打つだけだ。

 だが、その方向がフィニクスだったり獣人の王国のゾンビ使いの様な、周囲の被害を拡大させる様なやり方だったら堪ったもんじゃねぇからな。


 それが選択されないと確信できる程、俺はアポリオンを知らない。半ば疑心暗鬼なのかもしれないし、これは俺のエゴで、我侭だとは思う。だけど……


「お前は、ここで叩き潰す!! ファティマァァァァァァ!!!!」

『【了解】イエス! マイマスター!!!!』


 ファティマの刃に暗赤色の光が迸りギュオンギュオンと言う音が響く。


「せいっ! やああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 横を通り過ぎざまに、ファティマを振るう。一瞬、アポリオンの外骨格とファティマとの間で火花が散り、しかし、その直後にアポリオンの胴が真っ二つに分断された。

 【オド】を凝縮されていた為だろうか? その凝縮が解かれ、放電を伴って、一気に噴出、まるで爆散したかの様に、いや、その場で爆散をした。

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