今回、城〇内死す! デュエル、スタンバイ!!
どの道途中で寝落ちするなら最初に仮眠を取る事にしました。
それでも、これだけ遅くなるのですが。
この方向で一寸調整して、なるべく予約投稿できるようにしたいと思います。
遅くなって申し訳ない。
ヒューヒューと不規則な呼吸が口から洩れている。声を出そうとしても掠れた呻き声にしかならず、喉奥から何かがこみ上げ、むせそうになる。
『【心配】マイマスター、大丈夫ですか?』
ああ、ファティマが、俺の状態を訊ねて来る。全身の痛みを散らす様に浅く息を吐く。
「だい、じょう、ぶ、だ」
予想通り、一撃は耐えられた。一撃でも喰らえば、こう成るであろう事は予想していた。だからこそ、『どう、攻撃を受けるか』が問題だった。
攻撃を喰らった直後に、アポリオンの近くに居れば、そのまま止めを刺されて居ただろう。
だからこそ、俺は蹴りのインパクトの瞬間、流れに逆らわず、身体の力を抜いた。
そうして、敢えて、遠くまで吹き飛ばされたんだ。
矛盾している様に感じるだろうが、俺はアポリオンの膂力の高さに賭けた訳だ。あのバカげた力なら、アポリオン本人が追撃不可能な距離まで、吹き飛ばされる事が出来るだろう。ってな。
遠投した外野手が、自らの放ったボールに追いつけない様に。ロングシュートを決めたサッカー選手が、自分の蹴ったボールに追いつけない様に。
確かに、アポリオンの速度を目で追えないのも事実で、また一瞬で距離を詰められ攻撃を受けるリスクも、確かに有ったが、どの道ジリ貧だったのなら、一か八かで距離を取った訳だ。
そして、その賭けに、俺は勝ったらしい。
ただ、この僅かな時間の間に、何か対応する策を考え付かなければ、さっきまでと同じ状態の繰り返しになるだけだ。
当然だが、今も【プラーナオリジン】の循環加速は行っている。その分のステータスの上昇はしているだろうが、それでも、まだ足りない。
結局、今のままだと、俺がしのぎ切れるかってぇチキンレースをやる羽目になるのには変わらんからな。
だが……
俺の頭の中で、アポリオンの第二形態の、その変身のメカニズムがチラつく。何かが、引っかかっているんだ。
いや、疑問では無い。あの変身に何らかのトリックが有るとかそう言った事では無い。そうではなく……
アポリオンは、自らを形成する【オド】を凝縮する事で、新たな姿とステータスの上昇を得た。いや、エネルギー的な物の凝縮が出来るのは分かって居るんだ。俺の魔力装甲だってその類だしな。
ただ、俺のソレと、アポリオンのソレとに、何か大きな違いを感じているんだ。
………………あぁっ!!
******
俺を蹴り飛ばしたアポリオンがゆっくりと近づいて来る。能力が上がったってのに慎重な事だ。さっきもそうだったが、予想外の威力だった場合に、相手の罠を警戒するのは性格なんだろうな。自身が一方的に有利な立ち位置を得たいって言う。
事実、それまで一方的な展開に成って居た訳だから、調子に乗って追撃して、予想外の反撃を喰らう事を恐れているんだろう。
一方的に攻撃できる程の力の差が有るなら、むしろ冷静に対応した方が、ソレが覆る可能性は低いからな。
だが、今回ばかりは、その慎重さは裏目だったぞ、と。
俺は、大きく息を吐きだし、呼吸を整える。身体のダメージは【プラーナ】の循環で回復済みだ。
「さて、アポリオン、アンタにゃ悪いが、ここからは俺のターンだ!!」




