俺達の戦いはここからだ!!
遅くなりました。
申し訳ない。
ドゴッッッッ!!!!
人間サイズの者同士がぶつかったと思えない様な激突音が大森林の中に響く。俺と言う人間や魔族の事を理解している家の面子は素直に応援とかしてくれてるけど、理解の甘いネフェル王女やヘンリエッタ王女、後、クッ殺さん何かは目を剥いて言葉もなく呆然と俺達の戦いを見ている。
ヘンリエッタ王女やマリエルは兎も角、俺の弟子を名乗ってるんだから、俺の戦い方を見て、何かを吸収しようとしなさいな、ネフェル王女さんよぉ。
それは兎も角、ぶつかり合った俺とアポリオンは、お互いにノックバックして強制的に間合いを取る。今の単純筋力的な物は、俺の方が高い筈なんだが、それでも肥大化で自重そのものを増やし、加速の乗ったアポリオンの『ぶちかまし』は、流石の威力だった。
それでも、背部大型バーニアに、肩部、腰部、脚部の各噴出孔からの噴射でバランスを取り、即座に攻撃の為に加速する。
ただし、それは向こうも同じ様に考えていたらしく、体勢を立て直しての再加速。しかし、噴出孔を使って即座に立て直しの出来たした俺の方が、大地を蹴って減速しなければ行けなかったアポリオンより、一瞬加速が早かった。
「ぐぬぅ!!」
さっきの激突で、ほぼ互角だったってのなら、加速の差で俺の方が有利だとすれば、当然、威力としては俺の方が高くなる。
そしてそれは、当然の結果として、アポリオンが吹き飛ばされると言う事に。
一歩踏み出しての追撃。だが、アポリオンは驚異的な反応速度で、大上段から振り下ろしたファティマをガードし、だが、後方へと飛ばされる。
その事に俺は舌打ちを一つ。
「上手く、逃げられた、か」
『【憤懣】やはり、長い年月戦い続けて居ると言うのは伊達では無い様ですね』
本当なら、打ち下ろしをガードさせる事で、抑え込み、力勝負で押しつぶしたかったんだが、そうは問屋が卸さなかった様だわ。
あの激突で、俺の方の力がアポリオンのソレを上回ったのを確信したってぇ事も有って、決着を付けたかったんだが、これは、上手くいなされたってぇ格好だ。
【邪神】から【加護】を授かり、魔族と成ったと同時に半精神生命体と成った為に、彼等魔族は寿命と言うくびきから解き放たれる事に成る。
それ故に、特に破壊やら闘争に特化した魔族の場合、その際限の無くなった寿命を有効に活用し、戦闘のスキルとセンスを長い年月磨き続ける事が出来る訳だ。
魔族としてのフィジカルの高さに、年月に裏打ちされた高い戦闘センス。成程、強く成らない訳が無い。だがそれでも、対抗できない訳じゃぁ無い。現に今、俺は対応できている訳だからな。
「ぬははははははははははははははっ!!!! 楽しいのう!! これだから戦う事は止められぬ!! 一方的に蹂躙するのも良いし、こうして拮抗するのも良い!!」
心底楽しそうに、アポリオンが嗤う。
「だが、やはり、戦いは勝ってこそであるな!!」
ブオリ、と、アポリオンの気配が圧力を増す。
ここに来て、まだ奥の手が有るってのか?
だが、俺の方も、負けてやる訳にゃぁいかんのよ。さあ、どんな奥の手かは分からんが、食い破ってやるさ!!




