単純にフィジカルが“強い”ってのは脅威だよね
また寝落ちて居ました。
遅くなって申し訳ない。
「くはははははははははっ!!!!」
アポリオンがぶっ飛ばされた先から、大笑いする声が聞こえる。おいおい、元気だなぁ。ダメージとか全く感じさせんやん。
誰だ、『打撃系が弱点だ!! (キリッ)』とか言ってたの。
あ、俺だった。
いや、まぁ、負け惜しみに聞こえるかもしれんが、コレも、想定内ではある。ぶっ叩いた時に、あれだけ弾性が有ったってぇ事は、それだけ打撃系のダメージを吸収できるってぇ事でもあるからな。
ただ、斬撃系に比べれば、ダメージの通りは良いだろうって位の認識ではあった。認識ではあったんだが……
まさか、ここまでタフネスが高いってのは想定外だったわ。流石は魔族。さすマゾ!!
俺がそんな益体も無い事を考えている間に、ドドドドドドッってぇ轟音を響かせながら、アポリオンがこちらに一直線に走って来る。
まぁ、吹っ飛んでく時、途中に有った木々を薙ぎ倒しながら飛んでたから、分かり易いだろうさね。ただ、なぎ倒した木が転がってるから、決して走り易くは無い筈なんだが。
見れば、自身の身長の半分程もの太さのある木々を弾き飛ばしながら走って来て居やがる。いやはや、とんでもない膂力だとは思っていたが、ここまでとはな。
とは言え、こっちに向かって来るのをただ呆っと見ているだけにはいかない。俺はアポリオンの方に全指を向け、【プラーナビーム】を発射する。
「ぬぅっ!! 何のこれしき!!」
マジか! アポリオンは多少煩わしそうにしながらも、腕をクロスさせ、顔への直撃こそ避けたモノの、走って来る速度を緩める事無く、こちらに突っ込んで来た。
【プラーナビーム】は貫通力こそ有る物の、実際、それ程威力が有るって訳じゃぁ無い。訳じゃぁ無いんだが、それでも何の痛痒も感じさせる事無く走って来るとは、流石に思わなんだわ!!
よくよく見れば、多少、外骨格を穿ってはいるが、致命傷って訳じゃぁ無い。てか、どんだけ身体の密度が高いんだか! いや、ファティマとつばぜり合いが出来る時点でお察しってぇ所ではあったんだが、それでもここまで耐久力が高いってのは、単純に脅威だわ。
ビームの威力に関しちゃ、何か修正せにゃ成らんとは思うが、取り敢えずソレは後だ。先ず、現状をどうにかせんと。
アポリオンは、先程肥大化した状態のままで、加速しながら走って来るんで、その姿はあたかも、前世のトラックの如くってぇ感じだ。いや、あの太さの木々を弾き飛ばしてる時点で、トラックよりも威力は有りそうだけんどもさ。
これはあれか? コイツに撥ねられれば、異世界に転生とか出来るやつか? いや、既に転生はしとるんじゃが。それにもう一度転生とか、まだする予定もないし。
「ファティマ!! 行くぞ!!」
『【肯定】イエス!! マイマスター!!!!』
俺は【エクステンド】で、ファティマに【プラーナ】を纏わせると、アポリオンを迎え撃つべく、背部大型バーニアを全力で吹かし、アポリオンに向かって飛び込んで行った。




