表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
836/1157

物理さんは仕事する

 上手く纏められず、時間が掛かってしまいました。

 遅くなり申し訳ない。

「くくく、離しはせん!! 離しはせんぞぉ!!」

「なら、絶対に離すなよ?」


 背部大型バーニアと肩部噴出孔からの噴射で、俺はその場で回転を始める。そうなれば、当然アポリオンは振り回される事に成る。さぁ! 物理学の世界にようこそ!! アポリオンさんよぉ、慣性の暴力に、どれだけ耐えられる?


「ぬぅ!!」


 そのまま振り回わされればどう成るかが分かったアポリオンが、それを阻止すべく、足と腕に力を入れる。

 あぁ、確かにお前の膂力は凄まじいだろうさ、俺よりも遥かに高い筋力を有しているのは確かだ。それを振り絞れられれば、俺の方に成す術なんざ、有りゃしないだろうよ!


 ()()()()()()()()()()


 俺と言う【プラーナ使い】の特性として、【プラーナ】を循環精製しながら、()()()効率を高めて行くと言う物が有る。


 何が言いたいのかと言えば、その性質上、俺は()()()()()()()()にしか成りえないと言う事な訳だ。つまりは、俺は()()()()()()()に、【プラーナ】での強化率が()()()()ってぇ訳だ。


 さて! 今、俺の【プラーナ】の出力とアポリオンの膂力、どっちの方が勝ってるか、勝負と行こうか!!


「ぐぅっ」

「ぬうぉおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 白羽取りをするアポリオンの腕が、脚が、ボコリと言う音を立てて肥大化する。外骨格の隙間が広がり、その分筋力が増加したのだろう。

 成程、向こうも余力は残していたってぇ訳か。だが、俺も、体内循環を加速させ、【プラーナ】を濃縮、精製、純化させ、【プラーナオリジン】へと昇華させながら、更にそれを濃縮加速させて行く。

 全身の、そのスリットの赤色光が暗褐色へと変化して行き、その光度も高まって行く。


「うぐぅっ!!!!」

「ぬがぁあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 その均衡が崩れた瞬間、アポリオンは一瞬、地面を掴む様に足を大地にめり込まさせるが、しかし、それも無駄な足掻きと成り、次の瞬間にはその巨体が、物理法則に従って慣性の暴力に曝される。


「うっがあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 一度回転を許してしまえば、その渦から逃れる術は手を放す事しか無いだろう。だが、この状況で自ら手を離すと言う事は、自分から吹き飛ばされると言う事と同意味であり、その結果は吹き飛ばされ、木々に叩き付けられると言う未来しかない。


 大地に叩き付け、バウンドさせた時の反応から、恐らく斬撃には強いが、打撃に、特に体内にダメージが響く系の攻撃は、避けたいのだと察せられる。要は、ソレが弱点と言う訳だ。だとしたら、この勢いで木々や崖に叩き付けられるのは避けたい所だろうが……


 俺は、更に回転を加速させる。


「ぐぬうううううぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」


 それに振り落とされまいとして、アポリオンが腕に力を籠める。

 なぁ、お前、その考えに、居付いちゃいないか?


 次の瞬間、俺は一気に逆制動を掛け、強引に停止した。


「なっ!!」


 肥大化したせいも有って、その重量を増していたアポリオンは自らの重量エネルギーに耐えきれなくなり、吹き飛ばされる事に成った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ