第二夫人が帰って来ましたよ?
色々考え込んでいて、執筆が遅くなりました。
遅くなって申し訳ない。
久しぶりに王都から帰って来た第二夫人は少ぉしばっかしお疲れモードであるらしく、ジョアンナさんにお茶を淹れて貰いながらも、俺を抱きすくめてスンスンしている。
これで癒されるのなら幾らでもスンスンされるけどね。まぁ、俺の婚約破棄騒動とかの火消しを頼んだってぇ事も有るし、俺にとっても、第二夫人には何時までも健やかで居て欲しいし。
こうして第二夫人が家の領地に帰って来たってぇ事は、王都での社交は、それなりに上手く行ったってぇ事なんだろうさ。
婚約破棄云々についてもこっちは貰い事故の様な物なんだが、そう言った醜聞は社交界って場においては格好の餌であるらしく、面白おかしく広まっちまうのが常であるらしいしなぁ。
良い迷惑だわ。
それもこれも俺の事をあんな大生勢の前で糾弾しやがった侯爵子息の所為ではあるんだが、あっちはあっちで俺の舎弟扱いに成ってるんで、今以上にどうこうしようとは思わんのだが、第二夫人的にはソレはソレとして、公的にも責任を取って貰わなけりゃいけないのだとかなんだとかで、慰謝料を分捕って来たらしい。当然だが子爵さんの方からも、公式な謝罪を含めて。
どう言う手段を使ったのかは具体的には分からないけど、ニグマス某の方にも社交界的に結構なマイナスイメージをねじ込んで来たらしいんだわ。
随分と辣腕だったと国王陛下が称賛してたそうだ。ルールールーが言ってた。
俺的には、それ程被害が有ったってぇ訳じゃぁ無いから、『まぁ良いか』位の認識だったんだけど、第二夫人的にってか、貴族としては、その辺キッチリやっとかねぇといけない所だったらしい。
うん。俺はまだまだ、貴族の常識ってヤツには疎かったってぇこったな。下手すりゃ面子ってヤツが、前世の『ヤの付く自営業』の方々並みに重要っぽわ。
まぁ、兎も角、王都で起こってた俺に対するヘイト的なアレコレは、第二夫人が大体刈り取ってくれたらしい。第二夫人曰く、『それでも火種は完全に消せなかったのよ』ってぇ事だけど、そう言った物は完全に善意で行動してる人間にだってついて回る事だし、基本自分勝手に活動してる俺なんかは、倍率ドンであって、可笑しくは無いからな。
そう言った諸々を処置してくれてる第二夫人には頭上がりませんわ。
「トールちゃんの為だもの。喜んでやるわよ?」
「うん、有り難う」
いや、ナチュラルに俺の思考読んで来るよな。第二夫人。これで【念話】も【精神感応】も使って無いんよね、本当、どう成ってるんじゃろか?
てか、第二夫人、もう、完全に活動拠点がオーサキ領に成ってるよな。王都邸も、俺の館の方で寝泊まりしてるし。
「愛もない相手と一緒に居るより、愛する子供と一緒に居たいものなのよ? そもそも後見人として国王陛下からもお墨付きを貰っていますから、実質、親子同然だと周囲にも見られてますからね? 私としては、今、とっても幸せなの」
「うん」
そう言う第二夫人は、その言葉通り、とても幸せそうな表情をしている。それは第二夫人の事を大切に思っているらしいジョアンナさんも同じ様で。
まぁ、第二夫人が幸せだって言うなら、俺の方に厭は無いからな。
「だとしたら、俺も嬉しいし、これからもよろしくお願いしますね? 母上」
「ええ、当たり前です」




