研究職なんだよなぁこう見えても
寝落ちをして、遅くなってしまいました。
申し訳ない。
DJ云々はさて置いて、本来ドワーフ達が目指して居たのは、送受信機のエリア拡大だった筈だ。現状の送受信機の能力では、街の中心に置いた場合で、防壁ギリギリ届く位。
ただし、電波? 魔力で動いてるなら魔波なのか? 良く分からんが、電波としとこう。その方が馴染みが有るし、魔波だとマッパと響きが似てるし。
電波自体は、ほぼ球形に広がるので正方形に作られた街の“角”の方には届かないし、建物とか挟むと電波が減衰するんで、場所によっちゃぁ、範囲内でも電波が届いていない場合も有る。
その解決の方法としては、二つほど方法が有る訳なんだが、その一つが、なるべく高い位置に送信アンテナを作って、なるべく死角を無くすか、各所に中継アンテナ作ってなるべく死角を無くすか。
ただ、前者だと、範囲そのものは変わらないんで、結局、死角を全て潰す事が出来る訳じゃ無いし、上空に上がった分だけ、下方にあたる部分に新たな死角が増える事に成る。ぶっちゃけ、最初の受信範囲とは誤差程度にしか成らないんよね。
後者の場合、場所場所で減衰する所を想定しながら設置すれば、死角は粗々潰せるが、メンテナンス的な事が問題に成る。
だって、これを稼働させる為には魔力電池が必須で、その魔力電池にしたって、充填出来なかったら只のクリスタルな訳だし。ただ、皮膜で覆われてるってだけの、なぁ。
つまりは、その都度充填が必要で、その為にも人員が必要ってぇ事に成るんだが、今の魔力電池の連続使用可能時間は、大体1時間程度しか持たなんで、一時間毎に充填しなくちゃいけないってぇ事に成る訳だ。そんなもん、ぶっちゃけ、現実的じゃぁ無いだろうさ。
と、言う事で、何にせよ取り敢えずは送受信機及び魔力電池の強化は必須な訳で、その為の研究実験はどうしたって必要。なんで今は、研究室の事については目を瞑るしかないってぇ話に成る。
「まぁ、もうやっちまってるってぇ事でもあるし、今回は“済んだ事”って事で、見逃すけどさ、報告はしてくれよ? マジで」
「分かったわい。これ以上トール様に、迷惑を掛けるのも本意じゃないんでな」
ドワーフの代表の言葉に、その場にいた他のドワーフ達も『うんうん』と頷く。興味のある事が有ると、ついそっちに目が行っちまうのは、理解できなくも無い。それでちょっと暴走しちまうのもなぁ?
だが、その事に夢中に成り過ぎるあまり、それ以外が疎かに成るってのは、実際、色々と問題に繋がりかねんからな。分かってくれるのは素直に有難い。
基本、悪い連中じゃぁ無いからな。ドワーフ達も。
「じゃぁ、研究は頑張ってくれ、期待はしてるからさ」
「うむ、任された!」
力強く頷く代表に、俺もニヤリと笑みを浮かべる。まぁ、子の調子なら、直ぐにでも強化は出来そうだな。
こう言った機械的な物は……魔力の扱いも含めて、俺は門外漢なんで、完成後のスペック的な概要やら概念的なもののイメージ以外では協力のしようもないんで、丸投げするしか無いんよね。
なんで、ドワーフ達には是非とも、その能力を十全に発揮して、良い物を作って貰いたい。俺に出来る協力ってそのサポート程度だしな。
「よぉし!! それじゃぁ、音楽を記録する媒体の研究からだな!!」
「音の記録ってんなら、風系の魔法か?」
「いや、記録を刻み付けるなら土じゃ無いのか?」
「そもそも、音楽ってんなら、複数の音が混在する訳なんだから、媒体ってのは一つで良いんか?」
「ちょ、記録って言うなら、時間に関係する魔法かも知れんのではないか?」
って、研究すんのDJかよ!!




