普通なら使える
色々と考え込んでいたら遅くなってしまいました。
遅くなって申し訳ない。
「って言うか。電気とか発見したんだな」
マイクやらミキサー擬きを使ってるって事は、そう言う事なんだろうさね。それまでが、基本ゼンマイ動力だったから、スチームパンク跳び越えて現代科学に迫っちまったよ。
「デンキ? なんじゃそりゃ」
「え?」
「うん?」
いやいや、電気を使わないんだとしたら、どうやって動かしてんだって話だわ。特にマイク。あれって、コイルと磁石で、振動を電気エネルギーへと変換してやる事で音を伝えてやってるんじゃんか。なのに電気を知らないってどういう事やねん。
「いや、電気じゃ無いとすりゃ、コレの動力何よ」
「そりゃ、魔力だろ」
「魔力!?」
「うむ」
ちょっと、予想の斜め上の回答来たよ!? 魔力!? 電気じゃなくて魔力で動くの? コレ!!
って、言うか、魔力で動く物とか初めて見るんだが!?
「え? 魔道具とか作っちゃったの!?」
「うん? 魔道具、魔力を使う道具と言う事か!! 成程、そうだな! その魔道具と言うものと言う事に成るな!!」
いや、ちょっと待て、つい最近まで、最新動力がゼンマイだったんだぞ? 突然ぞんな発展の仕方って……
いや、いや、そうか、魔力で動く物とか古代遺跡から出てるんだったか。
『【当然】そもそも、魔力もエネルギーの一つとして使用して居ましたので』
だよね、取り敢えず、古代文明時代が前世の未来世界って線は消えたか、前世に魔力とか言うファクターは無かったし。
「てか、何で唐突に魔力を道具を動かすエネルギー源に?」
「うん? それを領主様が言うんかい? この街を運営する為に、魔力を使って古代遺跡を使用してるってのに」
いや、そりゃそうかも知れんが……
「それにな、例の鉱石ラジオから、送信機受信機を開発している実験をしている時に、鉱石に圧力を掛けてて破損する時に魔力が放出する物を発見したんでな、そう言えば、領主様も『魔力を溜める』とかやってたな、と思い出したんだよ、なら、魔力を溜めて置ける鉱石も有るんじゃないかって話になって、色々と試してみたんだ」
「そうそう、普通は鉱石を砕く時に魔力なんざ調べんからな」
「魔力を溜めるなんて事、アーティファクトで位しか出来んと思ってたしなぁ いやぁ、楽しかった!」
ああ、送受信機の開発の過程で偶々発見したんだ。ってか、技術のブレイクスルーがおきてるじゃねぇか!!
「いや、そんな報告受けてたか?」
「……誰かしてなかったか?」
「さぁ」
「誰かしたんじゃねぇのか? 俺は知らんが」
「いや、新しい発見が有ったんで、それを試してみるのに夢中だったからオレはやってないぞ」
……新しい玩具を見つけて夢中になってたから、誰も報告して無かったと。いや、技術職の連中にとっては画期的なエネルギー源だし、そっちに集中しちまうのは分からんでもないがさぁ。
「報告はきちんとしてくれ、良い大人なんだからさぁ」
「いやぁ、すまんすまん」
『【訂正】そもそも新発見ではなく、再認識だと思います』
いや、まぁ、そもそも古代遺跡から出土してるアーティファクトとか、普通に魔力で動いてる訳だしな。
普通に生きてると、ちょっとした事位なら、普通に魔法を使ってる訳だし、魔道具を態々開発する必要も無かったんだろうな。
この世界、基本的に誰でも魔法は使えるし。
うん、“普通は”使えるんだよ、魔法、その威力的な物には強弱は有れど。
普通は、うん。




