どちらかと言えば、クラブとかのイメージ
いやまぁ、古代文明って言えば、今よりも色々と発展してた風ではあるから、DJが居たとしても可笑しくは……いや、可笑しいか? 前々から気には成って居たんだけんども、こう、前世との類似点がさぁ。
あれか? 某、『猿〇惑星』以来、綿々とSF系のアレに受け継がれてきた『実は未来の地球だったんだよぉぉぉぉぉぉぉ!!』『Nooooooooooooooo!!』的なアレか? 『実は俺、異世界来たと思ったけど未来の地球だった件』とかそんなあれか? あ、そう言えば『ア〇トブレ……』。
『【警告】マイマスター、それ以上はいけません……』
何か駄目らしい。
それは兎も角、【実験放送】は構わんのだが、このノリ、要るのか? 実際、騒音による苦情も出てたらしいんだが。
まぁ、DJを再現するって事だから、こんな感じになるのも分からんでもない……か? 実際問題、俺もDJなんざよう分からんし、何なら、ラジオジョッキーとの区別もついて無いんだが。あれだな、俺のイメージ的にはもうちょっと……
「ミラーボールとかカラーライトとか有る方がソレっぽいイメージだよな」
俺がボソリと、そう呟くと、それまでノリッノリで、飛び跳ねていた髭オヤジ共がピタリと止まり、一斉にこっちに視線を向けて来る。怖えぇよ!!
「トール殿!! DJについて何か知ってるのか!!」
「いや、文献を紐解いてみたんだが、イマイチ、イメージがのう」
「これはこれで楽しくは有るのじゃが、こう、何かが違うとワシのゴーストが囁くのじゃよ」
「何と言うか、文献では華々しい様に書いて有ったのじゃが……」
「何と言うか、絵面が地味と言おうか、むさくるしいと言おうか……」
むさくるしいのは、おまいらの所為だと思うの。てか、今、完全義体のヤツ居なかったか? まぁ、良いけど。
「いや、そもそもDJって、音楽を選曲し、流し続ける仕事の人だろう? 『Hey!! You!!』 って言いつづけてりゃ良いってぇもんじゃねぇ」
「音楽を選曲?」
「そりゃ、吟遊詩人ってぇ事かいな?」
ああ、そうか、そもそもそこから認識にズレが有ったのか。
音楽って言えば、生オーケストラだったこの世界にレコードやらCDやらみたいな“音楽を記録している媒体”なんざ、有るわきゃねぇんよね。
自動演奏も、マトスンが開発してみたものだし、DJをやる為の前提と成るモノが先ず無かったんだわ。
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「何と!! DJを再現する為には、それ以前に音楽を記録するモノが必要なのか!!」
「まぁ、レコードとか、その辺が必要ではあるんよね」
俺の話を聞いたドワーフ達が、ガックリと項垂れる。いや、フルオーケストラが有るんだし、音楽自体が無いってぇ訳じゃ無いんだが、ソレを記録して、いつでも聴ける様にするってぇ事は思いつかなかったらしい。
まぁ、マイクとか作ってるんだし、その内、記録媒体くらい作りそうだけどさ。
って言うか、そもそも【実験放送】の方が本筋だと思うんじゃが?
何故に、DJを再現する方に全力を傾けるかな? かな?




