自分で言いふらすとかしないよ? 恥ずかしいし
またしてもの寝落ちです。
遅くなって申し訳ない。
別に隠している訳じゃぁ無いけど、何だろう。ヘンリエッタ王女に知られると面倒事が起きる気しかしねぇ。
とは言え、その事に後ろ暗い事なんざ無いから、ごまかす気も無いんだが、ただ俺は【闘神化】の事を『これが俺の【闘神化】だぁ~!!』とかって、殊更にひけらかした事って無いんよね。ひけらかせるほどやっても無いが。
そもそも【闘神化】にした所で、所謂【闘神】ってのが過去の【プラーナ使い】だったんじゃねぇかな? って言う推測から、その最終形態と思われるアレを【闘神化】と呼んでいるだけであって、実際、過去の【プラーナ使い】が、俺と同じ様な事をやったかどうかすら分からんからね。
いや、アレが最終形態かどうかも分からんのだけんども。まだ先とか有るかも知れんし。セフィ辺りが何か知ってそうだけど、聞いてもはぐらかしそうなんよね。
……いや、聞くだけ聞いてみるか。情報が聞ければラッキー位の心算で。
それは兎も角として、ヘンリエッタ王女に【闘神化】についての話を素直にするかどうかなんだが、俺の事を光の神の神子だと思ってる状態で、更に闘神の化身じみた存在だと知られるって事な訳だ。
良い意味でも悪い意味でも執着される未来しか浮かばねぇな。いや、俺の身体が赤銅色で、赤い闘気ってか、まぁ【プラーナ】なんだが、そんな物を使ってるって事は知られているから、今更、闘神そのものに成れると知られても変わりない様にも思えるかもしれんが、同じ様な業を使えるって事と、ソレに成れるって事だと、結構意味合い的にも違って来るんよね。
うん、最終的に知られるとしても、何と言うか、今だとタイミング的に悪いって気がする。
こう、ね、致命的にはまってしまうって、様な?
ごまかすってより、タイミングを見計らうと言うか、兎に角、今ではない。そんな感じ。
てか、【闘神化】についての情報入手が早いな王女さんさぁ。いや、【闘神化】ではなく【闘神降臨】ってぇ話の事らしいけど。
あぁ、あの、依頼達成の受付をしに冒険者ギルドに居た時に、噂くらいでも聞いたのかも知れんな。もしくは街の住人とかからか? 今一番ホットな話題でもあるし、その辺どこからでも入手できそうなのがなぁ。まぁ、良いか。特定できそうにないし。
「【闘神降臨】、ね。噂に成ってるとは聞いてたな」
「はい、わたくしも『実際に見た』と言う人々がこれ程多い“奇跡”は、初めて聞きました。と言うか自分で見たかったです」
うん。にこやかだけど、目の奥が笑ってない。完全にロックオンされてるわ。
「いや、そんな大層な物が見られるって事は。それだけ重要な事が起こってたってぇ事でもある筈だろう? 早々に降臨が起こっても困るんだが?」
「そう、ですよね? 一体、どうしてその様な奇跡が行われるに至ったのか……詳しい話を聞く前に、アレに遭遇してしまったので……」
成る程、ピエールか。【闘神降臨】に至る過程までは分からない感じなんね。
俺も、噂に成ってるって話くらいしか知らんし、内容も詳しく聞いた方が良いな、コレ。
「俺も、噂に成ってるって事しか知らんからな。どう言う話なのか情報を集めてみるわ」
まぁ、集めるも何も、その辺で聞けば教えて貰えるとは思うけど。
俺の口ぶりが意外だったのか、ヘンリエッタ王女は『そうなんですか?』って感じで首を傾げた。




