俺の方も準備せんとね
こうしてピエールは旅立った。
いや、元々旅には出てるんだけんども、やり直すって事で、つまりは『勘違いピエールの【魔王】討伐やり直し』……まんまだったな。分かり易くて良いけど『Re:~』とか『~の成り上がり』とか……あーいや、危険な感じしかしないんで、この話題はこの位にしておこう。うん。
ピエールにベリアルの事は丸投げしたんで、俺は俺でやれる事をせんとな。まぁ、今後、魔族が俺の事を狙って来るだろうって事な訳だから、防備の方を固めたい訳だ。
ただ、魔族って言っても、直接狙って来る様な輩ってのは先ず居ない。いや、直接的に攻撃して来たフィニクスですら、事前に俺の事を色々調べてから仕掛けて来たからなぁ。好みの【オド】を喰らうって為に、今迄も暗躍して来たからなのか、割と搦め手も含めての攻撃をして来る事が多いってか、なるべく巻き添えを多くしようとしやがるってか。そんな感じ。
もっとも、『俺を倒す』ってのが最終的な目的だとすれば、恐らく最後の最後は自分の手で仕留めようとはするんだろうが、その為に行う手段の中で、俺の周囲を巻き込むってのは有りそうなんよね。
他の領主を嗾けるとか、俺の身内を離反させるとか……
最も楽な防備は、もう完全に俺の身内を知れていない所に避難させて、そこをガチガチに固めっちまうってのが手っ取り早くも有るんだが、相手が一柱だけじゃない上に、どれ程の期間そうやって居なくちゃ分からんってのが、ボトルネックなんよね。
『【発言】むしろ、普通にやって居れば、一生襲って来ると思って良いでしょう』
「それな」
魔族は魔族で寿命って物が無いらしいんで、それこそ俺が死ぬまで襲って来るってのはあり得る事態なんよね。
つまり、ある程度で見切りを付けさせたいってんのなら、それこそ歯向かって来る気が無くなる位に魔族を圧倒するってのが現実的な方法って事に成る。
『【嘆息】普通はそれは“現実的”な方法とは思わないのですが』
「いや、おまいらにも手伝って貰うからな?」
そもそもおまいも、いつの間にかオファニムやケルブと合体出来る様に成ってるし、最低限自衛くらい出来る様に成って貰うからな?
もっとも、それに関しちゃある程度、人選はするけど。取り敢えず、家の騎士団と兵士達には、魔族相手でも同等に立ち回れる様には成って貰うがね。
『【苦笑】それは、災難ですね』
「いや、流石に一対一とか言わんよ? せめて5人で一柱を相手取れるくらいで」
『【嘆息】それでも充分高い壁ですよ?』
出来るだろう。こう、もっと魔力とかで身体能力上げたりとかしたりすれば、何とか。出来る、よな? 出来ると思うんだが。出来て欲しい、なぁ。
「やらせるよぉ~」
『やるよぉ』
うん、魔物’Sがやる気だ。死なせない程度に頑張って貰おう。




