信念を持ってほしいんよ
色々と考えていて遅くなりました。
遅くなって申し訳ない。
まぁ、ピエールがベリアル以外を脅威と見做してないのであれば、もう、ベリアル専門絶対殺すマンでも良いんじゃないかな? 少なくとも、俺の対応する魔族からベリアルは差っ引けるし。
ただ、ベリアルのテイムしていた【竜種】を倒しちまったのは俺なんで、恨まれてる可能性も無きにしもあらずではあるんだけど、そもそも俺に【竜種】を倒させるってぇ絵描いたのクロニクル帝なんだから、俺を恨むのは筋違いなんよね。
とは言え、その辺は飽くまで可能性ってレベルの話だけんどもさ。
「まぁ、色々言ったとは思うけど、実際、期待はしてるんよ?」
「え?」
俺の言葉にピエールが目をパチクリとする。いや、そんな意外そうな顔されてもな。ベリアルを倒してくれるってんなら、その方が良いのは確かなんだし。てか、倒して貰いたいからの忠告だと思うんじゃが?
「意外かねぇ? 倒して貰いたいから、こうして話をしてるんだが」
「いえ!! その、オーサキ卿は、ボクの事はあまり良い印象を持ってないかと思ったもので」
「なんでやねん」
自分に意見する=悪印象って事なんかね? それはだいぶ短絡じゃね? てか、そんなに今までは肯定的な人物としか相対してこなかったのか?
確かにお題目として【魔王】討伐なんて事を掲げてる人間に、変に反対意見は出せんだろうけど、それだけでここまでにはならんと思うし。
「あぁ、そう言えば、サウペスタの王女からの覚えも目出度いんだっけ?」
もしかしたら、一国の王女の後ろ盾がある様に思われて、周囲がその辺、変に忖度しちまってたのか?
「どう思う?」
俺がそうネフェル王女に尋ねると、王女は、手を頬に当てながら、溜め息を吐く。
「まぁ、妹なら、『便宜を図って欲しい』位は言うと思いますし、父も、妹には甘いですから」
「あぁ、一国の王女だけじゃなく、その国の王様が後ろ盾みたいな事、言ってるって成ってるのね」
だとすると神官女性の『王女の覚えも目出度い』ってぇ発言も、割と控えめではあったんな。まぁ、権力の後ろ盾をチラつかせてたのには変わりないんだけんども。
「師父がお気に召さないのであれば、父には言っておきますが」
言外に『止めさせましょうか?』って意味を含ませたネフェル王女の発言に、ピエール達がギョッとした表情になる。あぁ、妙に緊張してると思ったら、ネフェル王女が、自分達の後ろ盾に成ってるサウペスタの王女だから、変な発言で機嫌を損ねられないとか思ってた訳か。
まぁ、自分達がお世話になってる国の王女が、『師父』とか呼んでれば、俺の方が立場として強い様に思えるわな。
神官女性が俺に反論する度に、周囲のメンバーが反応する訳だ。
いや、俺としては、やってる事に反論したいんじゃなくて、むしろ、やるならちゃんとやれと言いたいだけなんだがね。
「いや、サウペスタが後ろ盾になるってんのなら、それはそれで構わんと思うよ? その方が【魔王】討伐にはプラスに働くと思うし」
「そうですか」
俺の言葉に、ネフェル王女もだけど、ピエール一行もホッとした表情になる。あぁ、やっぱり、国の後ろ盾が有るって事で、自信を得て居たって部分もあるんな。
ただなぁ、支持を得てい居るから居ないからって事で揺らぐ様な信念で、【魔王】討伐とか目指さんでもらいたいんよね。
“やるな”ってぇ事ではなく、さっきも言ったと思うんだが“ちゃんとやれ”って意味でなぁ。




