軽視して良いって訳じゃないけど、こっちにも事情はある
またの寝落ちです。
遅くなり、申し訳ない。
俺がベリアルに固執出来ないのは、実際に帝都を半壊させたのが竜種だってぇ事と、実際にベリアルと相対した事が無い為だろう。
何と言うか、『友人の話で聞いた“自分の職場の困ったちゃん”』的な認識。
ピエールが体験した、“ベリアル軍団の恐怖”やら“半壊した帝都の絶望”と言った要素が無いからだろうと、思う。
いや、確かに俺も“半壊した帝都”は、見ている訳だけど、それって竜種の存在とセットなんで、ベリアルがやった感は薄いんよね。その上、俺達、ベリアル軍団とは戦ってないしなぁ。ベリアルに対する危険度の見積もりが低いのかもしれん。
なにせ俺の認識では、そもそも魔族ってのは、単独で国くらい壊滅させられる位のバケモノってぇのが常識ではあるんで、『そのくらい出来るだろう』としか思えんのよね。
いや、実際に被害も出てるし、そんな風に思ってちゃ、不謹慎なんだろうけどさ。ただ、俺が獣人の王国で戦った時だって、建物はともかく人的被害はかなり大きなものだったしな。もっとも、これに関しちゃ、最後に【邪神】が降臨しちまったってぇのも大きいんだが。
それに、俺の街がフィニクスに襲撃された時だって、俺の対応が遅かったら、かなりの被害が出てた筈なんだ。
なんで、魔族に対する危険度自体は高く見てるけど、ベリアルだけを特別危険視するってぇ事は出来ていないんよね。
まぁ魔族ってぇモノに相対した絶対数が違うからなんだろうけど。
多分、一般的な感覚としてはピエールの方が正しくて、俺の方が間違ってるんだろうけんどもさ。
そんな感じなんで、俺にとっちゃ魔族よりも、【邪神】の方が、危険度ってぇ意味では上位に成っちまうし、他の魔族の事例を知ってるって事もあって、ベリアルだけを特別、危険視は出来ないってのもあるんよね。
何せ、魔族は【オド】を大量に、そして、なるべく美味しく、長期に渡って摂取出来るようにと暗躍するけど、何なら、そこに居るだけで社会が崩壊するってぇ事はない。崩壊寸前にまで追い詰めようとはするだろうけんども、それだって、色々と動いた結果だし。
それに対して【邪神】は、ただそこに存在するってぇだけで、人々の生命が危機に曝されるからなぁ。
何せ、【オド】を文字通り息をする様にってか、実際、息をするだけで奪って行くってぇ存在だからなぁ。
俺の中での危険度が段違いなんよね。
そもそも、バフォメットの話に拠れば、今、俺の街ってか、俺は、そんな魔族共に狙われてるらしいし、なんで、俺としちゃベリアルだけにかまけてる場合じゃないし、何なら、そっちの事に関しちゃ、ピエール君に頑張って貰いたいって部分もあるんよなぁ。




