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めちゃくちゃOHANASHIした

 色々あって、やっと戻って来たぞマイホーム。

 教会(きょてん)の屋根裏の自室でちょっとぐったりする。

 ミカとバラキを枕代わりにしてる俺の傍らには、イブとファティマが一緒に寝転んでる。


『【興味】異種族ハーレムと言うやつデス』


 煩いわ!! 聖槍(ロボウィザード)!! 獣人やエルフやドワーフはまだおらんわ!!

 ……って、え? 聖槍!?


「おま、どうやって……」

『【返答】こっそりデス? あ! きちゃったデス!!』

「良し!! ハウス!!」


 いや、聖武器って武器だけあって気配ないから、こっそりついて来られると分からんのも確かだが、この旅の間、誰も気づかんかっただと!!

 いや、それはともかく、国宝リリースしとるとか、どうなってるの魔人族国!! いやさ! ゴドウィン侯!!

 聖槍と話し合った挙句の結論が俺に押し付けるで良いのか!? 本当に!!


 まぁ、来ちまった物はしょうがないし、今更追い返すって訳にもいかんか。

 聖槍自体に悪意はないし、イブの家庭教師が来たと思えばむしろ利益しかない。


「来ちまった物はしょうがない。ただし、働かざる者は食うべからずだからな」

『【了解】ありがとう!! 個体名【トール】大好きデス』


 そう言って、寝っ転がってる俺に抱き付いてくる聖槍をイブとファティマが引きはがす。

 てか、食うべからずとか言ってみたが、聖武器って、何か食うんか?


『【肯定】私は、マスターからプラーナを分け与えて貰ってますので』


 ……考えてるだけだと思ってる事に反応されるとちょっとびっくりするな。まぁ念話なんだから仕方ないんだろうけど。そうかプラーナか。そう言えば、武器として扱ってる時は、大概注ぎ込んでたな。


『【肯定】マスターの濃いそれが溢れるまで注ぎ込まれるので、正直、少し困ってしまいます……』


 言い方!!

 って事は、聖槍にも同じ様にすれば良いって事なんかね?


『【不満】不本意ですがそうなります。マスター』


 俺はおもむろに起き上がると、聖槍に武器状態になるように促す。嬉々として武器に変形した聖槍を持つと、身体能力向上からの魔力外装を起動して、「取り敢えず前金だ」と言ってプラーナを彼女に注ぎ込んだ。


『【歓喜】ふわぁ!! こんなに濃い!! ひうっ!! あ、あ、溢れちゃうデス!! ボク、ボク、こんなの初めてデスゥゥゥ!!!!』

「言い方!!」


 紛らわしい言い方をせんといかん、何かがあるんか!! おまいら!! イブの情操教育に悪いと思ったら、まとめて叩き出すからな!!


『【補足】因みに必要なのはエネルギーなので、魔力やオドでも構いません。マスター』


 そうか、お前とはもう一度OHANASHIが必要なようだな。


『【狼狽】ですがマスターなら! プラーナが最も効率的だと進言します!! サー!!!』


 そうか、だが、やっぱり後でOHANASHIだ。おまい。


『【驚愕】そんな!!』


 ******


「よし、洗いざらい吐いて貰おうか!!」

「何をだ!!」


 一息ついてグラスん所に来た。手紙にあったヘチマやらアロエやらに詳しそうな人物について聞くためだな。ファティマ達の言うアーカイブにそんな情報がないかと訊ねたんだが、一般的なレベルでの情報ならともかく、地域限定だったり、ディープな話題なんかだと検索が厳しいらしい。

 そもそも情報自体、眠っていた間のそれは収集できていないらしいからな。

 何と言うか、イメージ的にはローカルネットワークの記録みたいな物なんだろう。聖武器内限定……みたいな。


 それはともかく、天井から現れた俺に、ちょっと本気でグラスがビビッている。フフフ、隠形もレベルアップしているのだよ!!


「手紙に書いてあった植物に詳しいってヤツの話だよ」

「ああ、その話か。西街区の薬屋なんだがな、ちょっと変わり者だが、腕は良いやつがいるんだ」


 そう言ってグラスが俺をチラチラと見る。ああ、確かに約束してたけどよ、そんなに楽しみだったのかね?

 俺は魔人族の王都土産のワインを取り出すと、顎で話の続きを促した。

 グラスがワインを受け取りニンマリとする。俺は前世を含めて酒の類(アルコール)は飲まんのだが、そんなに嬉しいもんか? って、今は幼児なんだから飲んだらあかんやん。


「名前はヴィヴィアン。魔女と呼ばれる、魔法薬屋『妖精の泉』の女店主だ」


 こっちに視線も寄越さずグラスはそう言った。人と話す時はちゃんと目を見ろや。


 ******


 はい、と言う訳でやってきました魔法薬屋の前なんですがね。イブに手を繋がれて、犬3頭、ロボ2名を引き連れてね。冒険者活動をしてない状態でオファニムを着込むのは色々と悪目立ちするんで置いて来た訳なんだけど、オファニムからの『え? おいてっちゃうの?』って雰囲気が、こう心にね……どうにかして自立出来る方法を探してやらんといかんかね?


 てか、ヴィヴィアンで『妖精の泉』て、いや、確かに魔女っぽいんだが、思わずア~サ~オ~とか叫びたくなったわ。

 あれか? 聖剣(ロボバトラー)持ってきたらEX付けてくれるんかね? なんだろうね。この前世との微妙なリンクさ加減。

 やっぱり全く別世界って訳じゃないんかな? まぁ考えても分からんのだが。


「ごめん、くだ、さい」


 扉を開けるとカランコロンと言うベルが鳴り、青臭い様な、乾燥した藁の様な香りが鼻をくすぐった。

 棚には素焼きの壷が並び、店の上の方に張られたロープには、乾燥途中なのか、束ねて吊るされた薬草であろう物が見て取れる。


「何と言うか、独特な雰囲気だな」

「ん」


 そんな風に店内を眺めてると、不意にカウンターの奥から声を掛けられた。


「動物は店内にいれないでおくれよ?」


 のそのそと奥から出て来たのは何かもっさりした女の人。20代後半くらいかね? あ、女性の年齢は詮索したらいかんか。

 あちこちに草の汁だろう緑やら青やらの染みのある、生成りの割烹着とか手術着? の様な物を着て、頭には頭巾の様な物を被っている姿だな。作業するにゃ良いが、接客する様な格好じゃねぇぞ、と。


 この女がヴィヴィアンかね?


 まぁ、中にミカ達を入れて欲しくないってのは分からんでもない。取り扱ってる物も物だしな。

 俺は、犬達に目配せをして、入り口付近に待機させる。


「しょくぶつ、くわしい、きいて、きた」

「うん?」


 イブの言葉にヴィヴィアンはポヤンとした感じで首を傾げた。

 変わり者だって聞いてたが、大丈夫か? この女。

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