面倒臭さスパイラル
疲れが取れて居ないんでしょうかね?
仮眠のつもりで、そこそこ寝入るってしまうのは。電気とか点けて、タイマーも点いてるのにも関わらず。
いえ、遅くなり申し訳ありません。
「ソール殿!! 無視しないで下さいませんか!!」
「ソール? 知らない名だな」
いや、ホントに。てか、おまいの主はちゃんと俺の名前呼んでるんじゃが!?
「マール、失礼ですよ! 申し訳御座いません、トール様」
「いや、そっちも様付けは止めてくれ、一応、な?」
王女様なんだし。俺、一応、伯爵ってぇ地位だしなぁ。まぁ、頭に“辺境”ってぇ単語が付くけんども。
俺とヘンリエッタ王女の会話を聞き、マリエルがハッとした様子で口を開く。
「!! 失礼、噛みました。クッ! 殺せ!!」
「いや、死ぬなや」
この上、更に属性増やすつもりか? てか、このポニテ女騎士。前も、こんなにうっかりさんだったか? だった気もするな。なら、属性は増えてないのか? まぁ、どうでも良いか。
ただ、俺を巻き込まんでくれねぇかな? いや、厄介事をやらかしに来た俺の言う事じゃ無いが、“巻き込まれる”のと“巻き込んで行く”のでは、意味合いが全く違うんだわ。
『【平気】巻き込まれたと言う状況からだったとしても、主導権は握れますので』
巻き込まれて行く気満々ですな。聖武器殿は。いや、出来るのは分かる! 分かるんだけんどもさ!! 何と言うか、面倒臭さ加減が違うんよ!!
「そこのソールとか言うお前!!」
あぁ、捕まった。離脱するのが、少々遅かった様だ。いやまぁ、ヘンリエッタ王女は、そもそも俺を訪ねてくる気満々だったみたいだし、こんな困った状況で俺を見つけた、そら、喜んで声を掛けて来るだろうさ!! 面倒臭いだろうから!!
「おい!! 聞いているのか!!」
その結果、俺の方に、その“面倒臭い”が来るって言うね!!
分かってる分かってる!!
もう、完全にヘンリエッタ王女もマリエルも、俺に対し“知り合いムーブ”かましてる時点で、俺の方に矛先を向ける事は予想がついてたけどさぁ。いや、例え本当に俺が知り合いじゃ無かったとしても、こっちに話の方向が来る流れだったから、こう成るのも有る意味当然なんよね。
例え、いまさら『僕、通りすがりの見ず知らずの一冒険者でしゅう』とか言っても、逃げられない感じの流れだよねぇ。
「トール、様?」
ほら、イブが『やんないの?』的な感じの視線を向けてるし、犬達や魔物’Sは『いてこましたるでぇ』みたいな表情。
困惑しているのはティネッツエちゃんとネフェル王女位?
俺は溜め息を吐きながらも、その男性冒険者の方を向く。
と、何か、そいつが息を呑むのが見えた。何じゃらほい?
「ふむ、良かろう!! このボクの従者に成る事を許そう!!」
は? ちょっと何言ってるのか分からないんだけど?
俺が首を捻ってると、しかし、俺の背後から家の家族達からの何と言うか怒気が上がるのを感じた。
ううぉぉい!! コイツが失礼だってのは分かるけどさ!! こっちはこっちで、何で殺気が漂うかね!?




