策士、策に溺れた訳じゃ無いけど事故った
寝落ちしそうだったので、仮眠を取ったらこの時間に成ってしまいました。
また、朝とかじゃなくて良かった。良くないけど。
遅くなって申し訳ない。
「我が心をけ取って頂けるだろうか? 美しき人よ!!」
冒険者ギルドのど真ん中で片膝をつき、女性の手の甲に口づけを一つ落とそうとしている、無駄にイケメンな青年。明るいブラウンの髪と深い碧の瞳に整った顔立ちの王子様系ってヤツ?
それを見ている女性冒険者と、一部男性冒険者から黄色い悲鳴。うん、多様性多様性。
誰が何をしようと、それはその人の勝手だとは思ってる。ただ、他人に多大な迷惑を掛けなければってぇ前提で。いや、これから冒険者ギルドに迷惑を掛けようってしてる俺が言うべき事じゃ無いとは思うけんどもさ。
『【迷惑】こんな所で茶番をしないで欲しい所です。少しは周囲の迷惑を考えないのでしょうか?』
「ん!」
それ、特大ブーメランだからな? 特にファティマ、今回の件の発案者おまいだからな? いやまぁ、それに少なからず同意しちまった俺も同罪だけんどもさ。
「いやぁ、でも、邪魔だよねぇ~」
『おじゃまぁ』
「なんで、あんな所で告白してるんでしょう?」
「ナルシストなのですよ、ああいう輩は」
まぁ、やるならプライベートに成る所でひっそりやって欲しいよな。てか、【ナルシスト】なんね。この世界にも『ナルシス』が居たのかね? まぁ、何時もの謎の一致なんだろうけど。
どうでも良いけど、どいてくれねぇかな? ギルド内に入れんし。
ほら、犬達、欠伸しながら耳の裏掻いちゃってるじゃん。
******
ファティマ発、『領主御一行パーティーの実力見せつけて綱紀粛正をしよう』作戦。ギルドに入る入り口で躓いちまってる訳なんだけんどもよ。
でもまぁ、しようが無いっちゃ、無いだろうさね。入り口直ぐのギルドホールで、こんな茶番劇やってる訳なんだからさ。
中心に居るのは先に言った王子様系イケメン。そしてそのお相手は……
「まぁ!! トール様!! 丁度これから、お伺いしようと思っていましたの!!」
「ソール殿!! 何故踵を返そうとして居られる!! 会って直ぐにその様な態度!! クッ殺せ!!」
即座に帰ろうとした俺の判断は間違ってないと思うんだ。何故ここに居る!! てか、先触れとか無いんか!? それ以上に、また単独行動してるのかよヘンリエッタ王女ぉ!!!!




