状況を振り返ってみる
遅くなりました申し訳ない。
『吾っ輩っもっ!! 修行っにっ!! 行って、来るっのでっあ~~~~~~るっ!!!!』とかって、バフォメットは去って行った。
いやいや、魔闘の饗宴はどうした?
あ~いや、その為の修行か。
何せ、行われるのは俺の所ってのは決まってるらしいからな。迷惑な事だが。てか、アレか? 俺と戦う為に魔族が集まって来るってぇ事だよな?
本気で止めて欲しいんじゃが!?
『【憤懣】マイマスターに迷惑を掛けるだけかけるとは、魔人族国の事と言い、最早絶滅させた方が良いのでは?』
「トール、様、勝つ!」
過激な意見いただきました。てか、【念話】で会話できるファティマは兎も角、イブも俺の心の声を的確に読んでくるのな。
「ん!! 当然!!」
「あ、はい」
まぁ、読まれた所で困る様な事を考えたりはしてないから良いんだけんどもさ。これはイブ達が凄すぎるのか、俺が読まれやすいのか……てか、第二夫人も読んで来るよな。俺の心の声。第二夫人曰く『母の愛の力』らしいけど。
いや、聖武器達は、そもそも俺と【絆】が深まるのに応じて【念話】とかが使える様に成る物らしいからなぁ。
今は聖斧にしろ聖槍にしろ画像の共有まで出来る様に成ってるからなぁ。
ラミアーはそもそも【超能力者】で、【精神干渉】も能力の内だし、ティネッツエちゃんも、コボルトってぇ種族の特性で、他者から出る『思考派』みたいな物を読めるしなぁ。
セフィはアレでも神の『分け御霊』だし、一応にも神の一端ではあるから、思考位なら読める訳だし……
あれ? 特に理由もなく俺の思考を読んでるのってイブだけなのか?
「ミカ、さん達と、同じ。家族、だか、ら」
う、うん? 納得できる様な出来ない様な? いや、まぁ、俺もイブの事は大切な家族だとは思ってるよ?
「んっ」
いや、思考が逸れてた。
「まぁ、バフォメットも言ってたけど、どうやら俺は魔族連中の標的に成ったみたいなんだわ」
俺がそう言うと、執務室に集まってた皆が頷いた。
「なんで、これからは魔族に狙われる事に成る。俺としては迷惑この上ないとは思ってるけど、襲って来るってのなら、返り討ちにする所存なんだわ」
バフォメットみたいに正面切って戦いを挑んで来るってヤツは少数派だとは思う。
むしろ、その殆どが黒幕の魔族みたいに暗躍したり、フィニクスみたいに不意打ちを仕掛けてくる奴等だろうさ。
「なんで、付き合いきれないと思うなら、この街から離れてくれて構わないと思ってる。まぁ、俺としちゃ、皆の事は頼りに思ってるし、離れて欲しくないとも思ってるから、残ってくれる方が嬉しいんだけんどもさ」
俺がそう言うと、皆が『クスクス』と笑い声を漏らす。
「トール、様、付いて、く。ずっと、一緒」
「ワン!!」
「ワン? ワオン!!」
「アオン!」
「わんわん!!」
イブと犬達がそう声を上げる。
『【歓迎】むしろマイマスターの覇道を支える事こそ私の本懐ですので』
だから、覇道なんざ進まんってばよってばよ! いや、有難いんだけどさ。その心意気だけは!
「一心同~体ぃ~」
『うまうま』
……コイツ等は有難いんだか有難くないんだか。
「ご迷惑でなければ、あたしも!!」
迷惑だとか思う訳もない。
「うん、有り難う」
こんな状態になってすら、俺に付き合ってくれる人達が居るってぇ事が嬉しいやね。




