ヤツは宣言した
「話を聞く限り、ソッレッはっ!! フィニクス、で、あるっなっ!!」
修練場で、お互いに模擬戦用の刃を潰した武器を手に打ち合いながら、バフォメットはそう言った。フィニクス、ね。やっぱり魔族か。
「アレッはっ!! 自身の【オド】を“羽虫”に喰わせる事でっ!! 【オド】っをっ!! 外部に保存して置けるので、なっ!!」
成程? フィニクスが使っていたのはその、外部タンクと成って居た“羽虫”とやらな訳ね。
バフォメットは、俺がこの街に帰って来た時に言っていた通り、この街の不穏な空気について、色々と調べてくれていた。
不穏な空気を出していたよそ者達は、つまりはフィニクスの配下で、俺の事を色々と探って居たっぽい。
で、俺の弱点とか探っていた訳だが、兎に角、接近戦では全く敵に成らんだろうと言う言事で、超高高度からの狙撃にしたのだろうとバフォメットが言う。
「元々!! 遠距離からのぉ攻っ撃っがっ!! 得意なヤツでっはっあるからなっ!!」
「それは良いけど、俺は狙われる理由が分からんのだが?」
他の魔族になら兎も角、フィニクスとやらと関わった覚えなんぞ無いんじゃが? そう思い、俺が疑問を口にすると、バフォメットが『ワハハハハハハハハッ!!!!』と唐突に笑い声を上げる。いや、唐突に笑い声を上げるのもそうだが、全く笑ってない目で声を上げられると、不気味が怖いわ!!
「流っ石っはっ!! 吾輩がライッバルットーーーーーーーールッ!! 邪神まで下しておいて、そのっ自覚っの無さっ!!」
別に邪神なんぞ下してないぞ? 何とか押し戻したってぇだけで。それも、それをやったのは、俺の身体を使ってとは言え、セフィだ。
いや、それは兎も角、対外的に見れば、ソレをやったのは、俺に見えるってぇ事な訳だ。それで、フィニクスが襲って来たってぇ事は、黒幕の魔族とは……
「つっまっりっ!! 吾輩がっライバルッ!! トーーールはっ!! 魔っ族の中っでっ! 有っ名っ人っ!! と言う、事っでっ!! あるっ!! と言うっ事っで、あ~~~~るっ!!」
「要は、魔族の中で、邪神を倒せるほど強いって共通認識が出来てるってぇ事で、そんな俺を倒せるって事は、要するに邪神より強いてぇ事に成る、と?」
「うむっ!!」
黒幕の魔族とは、直接的には関係なかったってぇ事か。いや、情報位流してそうだけんども。
あの後、俺の【闘神化】を見ていた住人ってのは結構な数が居たんだそうな。いや、居るだろうよ。避難とか全く出来て居なかったんだろうし。唐突な攻撃だったからなぁ。
まぁ、それ位、俺達が油断している所を狙ったんだろうけど。
その所為も有って、この街は【闘神】に守られてるとかってぇ噂が流れているらしい。いや、過去の【プラーナ使い】=【闘神】だとすれば、俺が、この街を守りたいってぇ考えてる限りは、その噂も嘘じゃぁ、無いんだけんどもよ。
「楽しくなるぞぉ!! 吾輩がライッバルッ!! トーーーーーーーールッ!!!!」
「何が!?」
むしろ俺としたら、嫌な予感しかしないんじゃが!?
「宴っがっ始まるっ!! 血湧きっ肉っ踊るっ!! 戦いのっ饗っ宴っがっ!!!!」
いや、お前にとっちゃ、そうだろうよ!! 好きそうだもんなっ!! バフォメットはっ!!
「さぁっっ!!!! 魔闘の饗宴のっ!! 始っまっりっ!! で、あ~~~~~~~るっ!!!!」
いや、勘弁してくれ、本当に。




