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帰りたくなる時、ただし郷愁とはちょっと違う

 流石に出禁なんて処置があった事も有って、その後は粛々と作業が進められたわ。

 で、ついに着きました受付。

 エントランスと思しき吹き抜けの広い部屋の奥側に、人間サイズの女性型の像が並んで設置されている。


「ファティマ、これか?」

『【肯定】これが受付です。マスター』

「なら、ゴドウィン侯を呼んでくれ」

『【了解】イエス、マスター』


 聖武器同士の認識共有。まぁ、聖武器ネットワークだな。それを使ってゴドウィン侯を呼んでもらう。

 受付の機能が生きていて入場者登録が出来れば上々。もっとも、出来なくても聖武器があれば“扉”の確認だけは出来るって事な訳だ。

 入場者登録が出来なかった場合、この遺跡のメインコンピューターとでも言えば良いんだろうか。それとアクセスできる場所を見つけて、そこに直談判するって事になる訳だが、さて……


 ******



『【登録】入場者の登録は終わりました。ですが、権限を越える場所への入場は出来ませんのでご了承下さい』


 ゴドウィン侯以下精鋭兵の登録を無事終了した。

 これで、俺の仕事も終わりかね。


「ふーむ、入場者登録での権限とはどの程度なのだろうか? それ以上の権限を得る為にはどのような事をすればよいのだろう」

『【説明】入場者登録での権限は各施設での見学通路での見学が可能となります。それ以上の権限は各施設において入場目的を明確にした上で随時申請をお願いします』


 要は、あの“扉”の向こうの施設ごとに、何をしたいか申請してくれって事だよな? あれ? そうすると、何で最初に行った施設で警告なんか受けたんだ?


『【回答】恐らく、人数制限に引っかかったのだと思われます。マスター』


 ああ、そう言う事か、って、考えてる事にまで返事しやがったなファティマ!


『【肯定】マスターとの“絆”が深まったので、思考での会話が可能になりました。マスター!』


 どういうシステム? 絆って、縁とかそう言うヤツ? てか、どういう理屈で計られてんのそれ?


『【報告】因みに、私からの感情はMAXです。マスター』

『【追従】ボクからの感情もMAXデス』

『【反論】マスターとの【念話】もできない程度の“絆”しか結べないのに烏滸(おこ)がましいですよ聖槍』

『【宣言】もう少しで出来るデスよ!!』


 何故断言できるのかと。それとそのMAXだとかいう感情ってのはいったいなんなんよ? まぁ怖いんで詳細は聞かないが。

 おそらく、“絆”とやらで念話が出来る様に成るとかいうのは、聖武器にデフォルトで備わってる機能なんだろう。

 前に聞いた話じゃ、何か集団無意識やらそれ以上の精神世界の話やらにも言及してたからな、古代文明じゃ、そう言った方面の技術も進んでたんだろうさね。


 邪竜戦では、ファティマに対し、呼びかける事で意思を伝えていたが、それだってタイムラグが起こる。戦っている最中ってのは、そんなわずかな時間ですら致命的になりかねないからな。

 それを考えれば思っている事を武器が共有してくれるってのは、随分なアドバンテージだ。

 それに、聖武器を使っている者全員が同じよう聖武器を通じての念話を使えれば、連携と言った部分でも飛躍的に高くなる。

 まぁ、それ以前にまともに連携が出来てるってのが前提に成るけどさ。そうでなければ、声を掛け合ったってまともな連携なんざできっこない。

 何やるにしたって基本は押さえとかねぇとってのは、色々やんなきゃ生き残れねぇ今世でイヤって程思い知ったからな。うん。


『【参加】個体名【トール】との“絆”の話ならワタシも混ぜてくれたまえ!! ワタシも個体名【トール】との念話なら……あれ? まだ、遠いな、何故だ!! 個体名【トール】!!』


 何故も何も聖剣(オマエ)と“絆”結ぶ様な事をした覚えなんざ一切ねぇからな? むしろ、聖武器の中じゃ一番遠かねぇか?


『【拒否】聖剣、貴女には関係のない話だと忠告しておきます!!』

『【賛同】そうデス! 序列四位は引っ込んでいるデス!!』

『【屈辱】かつてここまで、聖剣であるワタシが蔑ろにされた事があっただろうか!!』


 聖槍もそうだが、聖剣も使い手なんざいくらでも居るだろうに。どうしても自分にふさわしい使い手ってヤツが欲しいってんなら、エリスに相談すれや。

 あ、そう言や、コイツラ国宝だったっけか、下手な奴に渡せんかったわ。

 いや、だからこそエリスに相談するべきなのか。

 そうすれば、国内で適当な……

 ああ、適当なのがゴドウィン侯と元国王なのか。いや、でもそうすると俺ってのも不適格じゃね? 本拠地、公都だし。


『【回答】恐らく、個体名【エリステラレイネ】は()()()()()()()()()許可を出すと思います。そして、この女狐共がマスターを狙っているのは、この国で最も強い男性だからです。マスター』


 また思考をって、ああ、これが念話か。まぁ良いが。てか、女狐共て。おまいの姉妹だぞ?

 この国で最も強いって……いや、そりゃ買いかぶりだろう。俺、2歳よ?

 俺よりも強い……バフォメット……は無理か。無理だな。無理だわ。


 オマエ等の知っている中だとそうなるんだろうが、たぶん本物の強者とかは、まだ俺達が知らないだけな気がするんだかな。


『【疑問】そうでしょうか? マスター?』

『【不満】あー!! また個体名【トール】と念話してるデス!! 狡いのデス!!』


 聖槍がファティマに噛付く。いや、狡いって内緒話って訳じゃあるまいし。いや、この状況だと、ファティマと俺がこれ見よがしに内緒話をしてるようなもん……なのか?

 よく分からんが。


『【嘲笑】悔しいのであれば、貴女もマスターと念話すればよいのです』

『【屈辱】ムキー!! デス!!』


 おまいらいい加減にしとけよ? ここまだダンジョン内なんだからな?

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