流石に研究もされようと言うもの
昨日に引き続き、またもやの寝落ちをしてました。
軽い仮眠を挟む分、多少は意識はスッキリしているのですが、身体的には良くは無いですよね;
兎に角、遅くなってしまい申し訳ない。
聖斧をぶん回し、攻撃魔法の第二陣を迎え撃つ。
大量の【プラーナ】を消費した直後って事も有って、未だ完全に練り切れていない。【エクステンドビーム】の方の幾つかが、直撃すれども破壊までには至らない。
俺の足元に有るのは大森林内に作られた俺の街。それは領地ってだけではなく、そこに住む無数の人々の営みが有るってぇ事でも有る。
その上、突然の攻撃ってぇ事も有ったんで、避難を勧告する手はずすら儘成らなかった。コレを通せば、どれ程の被害が出るか分からない。
領主としての責任云々ってぇだけじゃぁ無い。そこに平和に暮らしているだけの人間の、その平和ってヤツが、理不尽に失わされるってぇ事が、我慢できない。
「う、うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっ!!!!!!」
振るうファティマを少しだけ加速。身体中の噴出孔を使い、空中に不規則なステップを刻みながら動き回り、消滅させられなかった攻撃魔法に強引にぶち当てる。刃線が不自然な軌道を描いて、強引な方向転換で振り回された腕の、脚の、関節が軋みを上げる。足りない練度は気力と根性でカバー。
『【心配】大丈夫ですか!? マイマスター!!』
ギリギリと言って良いタイミングでの迎撃で、何とか全てを撃ち落とす。止まっていた呼吸が再開され、新鮮な空気が肺を満たし、冷や汗が一気に背に流れる。
ゾワリとした悪寒。冷や汗の所為だけじゃぁ無い。
「チッ……」
鶴瓶うちの光点第三弾。間髪入れずのこのタイミング。最初よりも多く爆発に晒された身体のダメージを【プラーナ】で回復させる暇すら与えられない。そんな事をしている時間が有るのなら、その分の【プラーナ】も迎撃に使わなけりゃ、今度こそ間に合わないかも知れない。
大きく息を吸う。【エクステンドビーム】は使わない。練り切れないビームで、中途半端な攻撃に成るのなら、最初っから、ファティマでの迎撃に使った方が何ぼかマシだ。
【エクステンド】に使っていた【プラーナ】も噴出孔の方の出力に回す。
『【絶叫】マイマスター!! 無茶です!!』
言いたい事は分かる。さっきの攻撃でのダメージすら癒えて居ないってのに、さっきの攻撃よりも直接的な爆発に、更に多く晒される迎撃をするってぇ無茶。
だが、通させて貰う。
「うっおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
【プラーナ】の体内循環の速度を加速させる。先程よりも出力を増す噴出孔。更なる無軌道な刃線。軋み、悲鳴を上げる体中の関節。ギリリッと奥歯をかみしめる。
それでも尚。
「足りない……」
一手が足りない。打ち漏らしが出る。思えば、攻撃のタイミング、一度の攻撃量、そのどちらも、俺の迎撃能力の更に上を確実に狙っていたかの様なソレ。
その上、俺個人を狙わず、俺が護るしかないシュチエーションで、この街へと行われる攻撃。
随分と、俺ってモノを研究した様だな。おい。
間違いないわ。ピンポイントで、俺ってぇ人間が嫌がるモノを狙ってきている。
ヌルリ、と鼻から熱を帯びた何かが流れ落ちる。視界に赤が混じる。肉体的限界。そこまで出し尽くしても、やはり、足りない。
「クッ!」
俺の脇を嘲笑うかのように擦りぬける攻撃魔法。
だが……
「間に合った」
俺の直ぐ後ろで爆発が起こる。
「ん!!」
イブの【ファイアランス】で迎撃されたであろう。打ち漏らしの攻撃魔法。
「むぅ、活躍の場がぁ~」
その上で張られていたであろうラミアーの【念動障壁】。
思わず、口元に笑みが浮かぶ。
「ワンワン!!」
「アン? ワオン!!」
「ワン!! ワン、アオン!!」
「わん!!」
そうだ、俺は一人じゃぁ無い。視線の先に更なる光点。
来いよ!! その全てを撃ち落としてやるさ!! 俺達でな!!




