聖王国の王様事情
「元老院はこの国の政治を取りまとめている者が集まっている組織なのでございまする」
「枢機卿団とは違うんだな」
「はい、枢機卿団は、あくまで教会の行く末を考えるべき団体ですから」
「成程?」
現状として、国の方針を考えるのは父王さんらしいんだが、その他の細かい政治的行政的な部分はその元老院とか、家臣が引き受けてるらしいんよね。要は元老院ってのは、父王さんの方針が実現可能かを考えたり、その為の現実的な方法をどうしたら良いかを考えてるって感じらしいんだわ。
うん。思ってたよりも普通の組織だわ元老院。なんて言うか、割と老害の巣窟的なイメージとか有るけど、そうでもない感じらしい。
で、現父王さんは、この元老院が、他の候補が居ないからって事で推薦した人物で、後ろ盾的には元老院位しか味方が居ない様な感じな訳だ。
まぁ、後ろ盾を憂慮したが故の婚姻政策だったんだとは思うんだが、いや、数が多すぎだろう。
あちこちと角が立たないようにした挙句が、父王さんとの子供を設けた貴族全員が時期王を目論んで暗闘するって……
これあれだよな、この父王さんは【神託】によって次期国王が決まるって信じて疑って無い様だけど、実際は別の要因で決まってるよね? ただ単に、今回は元老院推薦ってのが表立ってしまっちまってるし、恐らくだけど、その後の状況をコントロールするのには現父王が、元老院によって推薦されただけって方が都合が良いから、その辺への追及も無いってだけって感じだよね。
つまりは、まぁ、この暗闘の決着を付ける事が出来れば、今度は【神託】で、王の代替わりが成されるって事な訳だろうさ。
本来なら【神託】によって王が決まるってんなら、現状の『元老院によって推薦された王が国政を担ってる』ってぇ状況は、正当性のない王位継承だともいえる訳だからな。
特に父王さん、信心深い分【神託】が有ったとか言われれば、疑いそうもないし。いや、流石に一貴族が言い出したってんなら、多少は……少なくとも元老院とやらは反対すると思うし、そうなれば、『はい、分かりました』とも行かない……よな? 流石に。その位には、責任感はある、よね?
う~ん。このお花畑っぷりを見ると不安しかないが、少しは信じておこう。うん。
それでも、大半の貴族が『【神託】によって、新たな王が決まりました』とか言い始めれば、素直に受け渡しそうな危うさはあるんよなぁ。いやむしろ、『これで信仰に邁進できる!!』とかって喜びそうな勢いすらあるんだけんどもさ。
それでも、現状、ちゃんと王様やろうと努力してるのは分かるんで、まぁ、手助けはしたいとは思う。




