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調査を続行するか否かだけが問題な訳じゃない

 ファティマさんの言う事にゃ、ああ言った自動で“扉”が開く場所は何カ所かあるって事で、しかも、つながってる場所は全部違う場所なんだそうだ。

 え? 聖武器って、非接触型電子キーかなんかなの?


 それはともかく、要は、同じような交渉を後、何回か行なわにゃ、ダンジョンには安全に人が入って来れんってこったぁな。


 ただし、入場者登録ってやつをちゃんとしてれば特に問題もないって話で、その登録自体は、今居る古代遺跡(ダンジョン)で出来るらしい。

 つまり、受付を探せって事に成る。


 うん、崩れてた場所から入って来た弊害って事な訳だ。

 今居るフロアには受付なんてものは当然なかった。そうなると、別のフロアにあるって事な訳で、それにはダンジョンの探索をしなくちゃいけなくて、だが、安全にダンジョンを探索する為には、入場者登録をせねばならん、と。

 なんだこの矛盾。

 いや、不正規に入ってきてるんだから当たり前っちゃぁ当たり前だ。

 ただ、今居るフロア自体は一通り回ってるって事も有って、一応は安全……だと思う。

 崩れてる通路や、瓦礫で入れなかった部屋なんかは当然入ってないんで、絶対に安全かと言われれば、“一応”としか言えんのだがね。


 “扉”がある場所の目安としちゃ、さっきと同じ感じに、何か動く像があるんだって話で、何でそんな手間のかかる仕様にしたんだか。まぁ、像がある場所を探せば良いって事なんだから、分かり易いっちゃ分かり易いんだがね。


 今居るフロアでは同じような像の有った場所は見当たらなかったから、あそこだけなんかな? いや、埋まってる所なんかに有ったらわからんのか。

 で、像なんだが、セキュリティーレベル的には低いんで、なにがしかのキーになるアイテムを所持してれば“扉”は開くんだが、持ってない者が近づいた場合、やっぱり像がガーディアンとして、撃退モードに入っちまうって話だった。

 それも万が一、そのガーディアンが突破されると、他のガーディアンも集まってくる仕様だとか。


 うん、俺かゴドウィン候、もしくは他の聖武器と一緒じゃないと危なくって動けねぇわ。キーアイテムは、受付で発行されるか、製造時にそんな機能を付けられてなきゃ所持は難しいらしい。

 つまりは聖武器達でも作ることは困難だってこったな。

 セキュリティーの作動魔力に干渉して書き換えられれば“安全”に入る事も出来るらしいんだが、それ、どこのハッカー?

 そもそも俺、魔力使えんし、プログラムに関しちゃ専門外何で、魔力制御に長けたイブに教えてって訳にもいかない。


 前世でそういうのが得意な奴に、プログラムの命令実行時の優先順位に割り込んでなんたらかんたらって言われたが、そもそも何処をいじったらプログラムが作動するか全く分からんのじゃが? そう言ったら、色々試してみれば良いって言われたんだが、どう試せと?

 前世でのあいつらは当然の様にやってたが、素人にはハードルが高すぎだってわかってんのかね?


 ******


 いったんオファニムから出ると、寄って来たミカとバラキを『首脇から始まるモフモフ48手』でモフり倒す。

 で、ファティマに見守られながら、サラサラな毛皮に身を預けて、知恵熱出そうな状態の精神を癒す。イブも俺の隣でラファをモフり倒して遊んでいる。

 ゴドウィン候ん所の兵士は、俺の正体知ってる人ばっかなんで出来る芸当だな。正直助かるわ。

 ちなみにウリは近くで伏せているし、セアルティはミカにじゃれついてる。ガブリははしゃいで走り回ってるが。


「トール卿、お休みの所、失礼しますぞ」

「ゴドウィン候、俺に敬称はいらねぇよ。で?」


 エリスん所に、伝令を出してたゴドウィン候が戻って来た。何らかの返答が有ったんだろう。それに興味があるのか、伏せていたウリが顔を上げる。


「やはり調査は継続で。姫様曰く『オヌシ様が居れば大丈夫なのじゃ』と言う事で」


 雑な指示だなオイ! てか、俺に対する信頼が重いんだが?

 眉根を寄せる俺に、ゴドウィン候が呵々大笑する。


「姫様だけでなく、ワシもそう思っていますぞ? 英雄殿」


 お前もかゴドウィン候。……エリスの一人称ってゴドウィン候のソレが移ったのかね? 若い女の子のする一人称じゃないよなとか思ってたけど。


 まあ、それはどうでも良い。


 調査続行って事なら、先ずは受付を探すところからか? 地面に埋まっちまったのか、それとも最初(はな)っから地下施設だったのかによって、上を目指すか、下を目指すのか。


「どう思う? ファティマ」

『【返答】おそらく、地殻変動などで地下に埋まったものと思われます。マスター』

『【提案】ボクにも聞くデスよ、個体名【トール】。そのくらいボクにも答えられたデス』


 ここぞとばかりに聖槍が自己主張をしてくる。だが、ファティマはそれが気に入らんらしい。まぁ、聖武器にとって武器替えは、浮気の様な物らしいし、そら、気に食わんわな。


『【拒否】マスターは、私のマスターですので』

『【反論】出会った時間が早かっただけデス。どんな武器を使うかは、個体名【トール】の意思に任せた方が良いのデス。ね? 個体名【トール】』


 おい、ゴドウィン候、お前、聖槍と話し合ったんじゃねぇのかよ。その結果がこれか? せめて、自分の次位に槍の扱いがうまい兵士とか紹介してやれよ。

 そんな意味を込めてゴドウィン候を睨む。


「はっはっは、若いと言うのは良いですな。ですがトール卿。姫様の事をないがしろにするなら、ワシは敵に回ると思ってくだされ」


 違う!! 俺の欲しかった返答はそれじゃない!! あと、聖武器の話にエリス関係ないと思うんじゃが!?


『【参戦】パートナーの話ならワタシも混ぜて貰おうか! 個体名【トール】の事はワタシに任せて貰おう』

「ややっこしい上に、今はパートナーの話なんぞしとらんから聖剣(オマエ)は黙ってろ!!」


 騒ぎを聞きつけたのか聖剣(ロボバトラー)まで出張ってきやがった。聖弓は、静観してないで止めてくれんかね?

 そんな意思を込めて聖弓(ロボセイント)を見る。


『【質問】止めに入ったら、ワタクシに個体名をいただけますでしょうか?』

『『『【拒否】ダメ(デス)!!!!!!』』』


 あー。個体名を貰うって事が聖武器達にとって特別な事だってことは分かった。

 なんかもう、放っといて良いよね。収拾がつかんわ。


 そして、うん、ミカ、バラキ、ありがとう。もう顔を舐めなくっても良いよ、落ち着いたから。

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