本人にも器じゃない自覚あったんだっけ、そう言えば
上手く纏まらずに時間が掛かってしまいました。
遅くなって申し訳ない。
父王さんが頑張れって言うのは確かなんだが、それだけだと、俺が聖王国に来た意味が無い……ってぇ訳じゃ無かったな。そう言や、そもそもルティシア嬢に会いに来ただけなんじゃん。何でこんな事に成ってるんじゃよ。
あ、【神託】のせいか、つまりは大体、光の神が悪い。
だとしても、係わっちまった以上、そのまま何もせずに放置ってぇ訳にも行かん。
しかし、何だな。こう、答えの出ない問題に頭を悩ませてってぇのが、あんまり俺には合ってないっぽいよな。
自分では脳筋のつもりは無いんだが、力技で問題解決できる事の楽さって言うか、腕力で解決できるのは気楽だなぁとか、改めて思ったわ。
それはさて置き、この国に今、降りかかってる問題は、何者かによって侵略を受けているって事で、その何者かってのが、恐らく魔族ってぇ事な訳だ。
で、裏に隠れてる魔族を引き摺り出せれば良いんだけんども、おおよそ、隠れてる魔族を表に引っ張り出すってのが、かなり困難なんで、恐らく、その魔族が広めてるであろう悪意ある噂。
その噂の裏付けをしちまって、補強してるかの様に成って居る、国内貴族の小国群の上級騎士に対する勝手な支援をどうにかしたい訳だが、その為には父王さんが頑張るしかないってぇ結論。
まあ、国内の貴族押さえる為に、他国の貴族を使うってのは、色々違うよね。獣人の王国の時は、俺って言う暴力装置が、国内の貴族を抑えるのに有用だったからこその後ろ盾だった訳で。
実際の所、こっちにも利益が有るからこその干渉って面もあった。ただし、今回は同じ手段使えないけど。
「取り敢えずは、家の手の者に噂の火消しに回って貰うけど、それだけだと片手落ちだから、父王さんには、聖王国国内の貴族が勝手をしてるってぇ証拠を集めて貰わんとな」
「そう、ですな、しかし、どうやれば良いのか……」
「いや、諜報部とか居ないの?」
「諜報部? いえ、その様な後ろ暗い事をする様な者達など使わずとも、正しく生きていれば、必ず神は道を示して……」
「そう言うの良いから」
善良と言うより、お花畑だと思うの。なんて言うか、政治って、思考の機先を奪い合う様な所が有ると思うんじゃが!?
父王さん以外の貴族連中はちゃんと暗闘してるってのに、何でこの人は、清貧貫く聖職者みたいな事言ってんのよ。
いや、唐突に王様にされたんだったか。本人は【神託】によって王様は決まるんだって感じの事を言ってたけど、確か、ゴッドフリードさんの時だけは、元老院が『この人しか居ないから』って感じで決めたんだろ?
こうなると、他の諸々もそんな感じで言いくるめたんかね? 元老院。
だったら、現状の事にも力貸してやれや元老院。
「……王様に成れって言うのは元老院から言われてんだろ? その元老院に力を貸して貰うってのは出来ないんかね?」
「いえ、元老院にも、それだけの力が有るかと言われれば、そこまでの力は……」
何と言うか、“元老院”とか言われると、影響力のある老貴族の権威ある機関ってぇ感じに感じるんだが、この国では違うのかね?
ただ、その元老院にも諜報機関が無いって事は無いと思うんだよね。
「いやさ、その元老院って所に、情報の収拾やらを頼めないのかね?」
「出来るのですか!?」
「いや、俺に聞くなよ!! お前の所の機関だろう!?」
いや本当に、何でこの人王様してられてんの!?




