一周回った
結局の所、後継者争いとやらに終止符を打つのが一番手っ取り早いって事な訳だ。
多分、暗躍している魔族達を引きずり出すってのは至難の業なんよね。何せ向こうには、聖王国だけに固執する理由ってのが無い訳だし、そもそも、今現在の状態で“食事”は出来てるって事な訳だしな。
『最後まで喰らい尽くす』ってな事に執着しない限りは、聖王国にいつまでも居続けるってぇ理由は無いからな。
むしろ、余計なリスクを負うって事まである。
実際、獣人の王国では、最後で居続ける何て事はしなかった。恐らく疑似ゾンビが大量に出た辺りで、【邪神】の召喚をしようとしてたネクロマンサー以外はとっくに別の国に移動してたんじゃないかなぁ。
何せ、恐らく彼奴らが『食事』をしようと騒乱の種を蒔いてる場所なんざ他にもあるんだろうし。聖王国みたいになぁ。
なんで、こっちがこの国の騒動の収拾に時間を費やしてる間に逃げっちまう様な気がするんよね。俺にした所で、ちょっかいを掛けられたりしてるんで、変な因縁が付く前に関係を清算しちまいたい所なんだが、そうもいかないって辺りが、一寸ばっかし不満ではあるが、その辺は割り切るしかないか。
取り敢えずは、この国の事に集中しまっしょい!!
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「結局の所、父王さんが王太子成り何成りを決めれば良いのでは?」
「いえ、その伴侶は光の神がお決めに成られる事なので……」
「……アンタも神に決められたのか?」
「はい」
いや、マジで? いきなり解決策潰されたぁ。てか、光の神が決めるて、どうやってだよ!!
「いえ、普通なら、“その時”が来た時、聖女によって【神託】が下されるのですが……」
「つまり、まだ、“その時”ではない、と」
「はい」
厨二病かな?
「だとしたら、地道に貴族達の勝手を止めるしかないか。いや、天王の方には、忠告とか出来んのかね?」
「それなのですが、恐らく天王に進言した所で、『問題ない』と言う回答しか得られないだろうと思われまする」
いや、どう言う事よ。何? 天王様、諸国の騎士に命じる事が出来ない位、権力が弱く成ってるって事か?
それに関しては父王さんもあんま変わらない様な気がするけんども。
もしかして、魔族が目ぇ付けたのはその辺りの事が関係してるのか? トップの影響力が強ければ、その下の人間にちょっかい掛けても動きが無いだろうからなぁ。
「だとしても、その辺やって行かないと、噂の火消しだけしててもどうしようもないんだわ」
下手すりゃ、自分達の悪い噂話を権力使って揉み消してるって思われて、逆に反感を喰らう可能性が強くなるからな。
「……ワタクシが何とかしなければいけないのでございまするな」
「まぁ、何と言うか、当たり前の結論に成ったな」
「はい」




