気にし過ぎない事にした
少し寝落ちして居ました。
遅くなって申し訳ない。
「そもそも、ヘンリエッタ王女さんは、俺に何をさせたいんよ」
「はい? 何の話ですか?」
「何のって……」
港町をのんべんだらりと歩き回った後。海の見える食堂へと入った俺達は、そこで地元ならではの海鮮料理に舌鼓を打ちつつ会話を楽しんでいた訳だが、俺は、ちょっと気に成ったんで、ヘンリエッタ王女に俺を探していた事について尋ねてみたんだが……
マジで【神託】受けたから俺の事探しただけなんかよ。って事は、光の神の方に、何か問題が出たって事か?
もう、その辺りの事情に成ると、こっちは全く感知出来んのだが?
まぁ、聞いてる限り、一先ず聖王国内に俺が居るって事が、重要っぽいから、現状でも問題はなさそうなんよなぁ。
ただ、俺達。これから小国群へと赴かなきゃ成らないから、その時はどう成るんじゃろね?
俺が首を傾げているのを心配したのか、足元で何かナポレオンフィッシュみたいな魚を齧っていたバラキが俺に体を擦り付けて来る。ミカは一旦俺の顔を見て、心配いらないと判断したのか、再び齧る方へと戻ったが。
うん。それ程深刻に悩んだ訳じゃないからな? 大丈夫だから。そんな事を思いながらバラキの頭をなでてやると、嬉しそうに掌に頭部を押し付けて来た。
ほれほれ、耳の付け根とか好きだろ? バラキは。
それはまぁ置いといて、ファティマの話だと光の神は現世に干渉できるのは限定的ってぇ話なんだが、何か問題が有って俺を越させたかったとして、その俺が居ない間に問題が起こった場合って、どうするんじゃろね?
また、ヘンリエッタ王女に【神託】を預けるんか? てか、それで間に合うんだろうかね? タイミング的にさぁ。
「……そもそも、俺が来たらオールオッケーって、何をどう対処すれば良いのか、全く分からんのじゃが」
「トール、様、凄い、よ?」
おおう、イブからの謎の信頼感が。いや、その割には結構泣かしちゃってる事も多いとは思うんだが……反省はしてますともさ。反省は。だからこその日常の鍛錬に繋がってる訳だし。
ただ、その想定以上の“何か”が来る事が多いってだけで。反省した時と同じ規模の“何か”だったら、対応できる様に成ってる筈なんだがね。それも結構な安全マージンまで取ってる筈なんだが、どうしてこうも、毎度毎度、そんな想定をあざ笑うかのような規模で来やがるんかね?
正直ね、今回もまた、同じ様な事に成るんじゃないかとか、一寸心配してる訳なんだわ。何せ、【神託】なんて事象、今回が初めてだった訳だし。
いや、本来なら、俺がそんな事を聞いて叶えてやる義理なんざ無いんだがね。ただ、態々神様が、そんな事を宣ってるってぇのが、どうも引っかかるんよね。
「気にし過ぎると禿げるよぉ~」
『ぱげぇ~』
禿げないよ!! そ、そんな気になんかしてないし? でも、海藻のサラダは追加しておこうかな? 俺、ワカメとか好きだし、うん。




